病気別のワクチンの効果と副反応を知ることで予防接種の意味が分かる
ワクチン接種で防げる病気とワクチンの効果を正しく知る
ワクチン接種が義務化されていない日本では、ワクチン接種をするかしないかは自由です。ただ、正しいデータを知らずにワクチン接種に怖いイメージを抱いている人も多いため、後で病気の後遺症に苦しむ人もいます。
ワクチン接種に抵抗のある人の中には、ワクチンの中には抗体を作るための薄められたウイルスがいるため、病気にかかるかも知れないと考える人がいますが、現在では生ワクチンの精度も技術の進歩と共に進んでいることがデータから見えてきます。
ワクチンの中に薄められたウイルスが入っているために、逆に病気に罹ってしまう人がいたのはほとんど過去の事です。昔は、まだワクチンの精度が低く、ワクチンといえば生ワクチンしか存在しませんでした。しかし今では、不活性ワクチンが使われることも多いため、ワクチンの中のウイルスが生きてない、つまり、ウイルスが繁殖する可能性のないワクチンもありますし、生ワクチンの精度も過去とは全く違います。
一方で、ワクチンによる副反応で、辛い苦しみを負う人がいる、または、いたことは確かなことです。
これについては、ワクチンを接種することで、病気に罹る確率を下げることを選ぶか、運悪く副反応が発生してしまう可能性を考え、ワクチン接種を控えるかを、個人が判断すべきことになってきます。
しかし、判断材料となるデータを確認せずに周りに流されて予防接種を受ける、受けないを決定してしまうと、将来的に強く後悔してしまう可能性もあります。
定期接種と任意接種のワクチンについて、それぞれがどういう症状の病気で、どれだけの死亡率がある病気についてのワクチン接種なのかを表にしました。
その効果の程度と目的を知ることで、予防接種を受けるか受けないかの判断に役立てて下さい。
予防接種には定期接種と任意接種がある
定期接種に指定されているワクチンとその効果
ヒブ(インフルエンザ菌の一種)どんなウイルスなのか?・・・流行性のものとは違うインフルエンザ菌の一種
中耳炎や肺炎を併発する恐れがある
死亡率:2~5%
後遺症:30%は後遺症が脳に残る
ワクチン接種が広まり、罹患率は99%減少(効果が高い)
ワクチンの副反応:赤くなる、腫れる、しこり、疼痛、発熱など
副反応のほとんどは、三日以内に消失する
肺炎球菌(小児)症状:肺炎、副鼻腔炎、中耳炎など
副反応:はれ、しこり、疼痛、発熱など
ワクチンの効果:71%減少
免疫のない小児は重症化しやすい
死亡率:肺炎球菌が元になる細菌性髄膜炎による死亡率はかかった患者の7~10%
後遺症:30~40% 知能障害など
B型肝炎感染源:輸血、性接触、母子感染、スポーツでの接触など ただし、経路不明の場合もある
副反応はほとんどない
40歳までに接種すれば抗体形成確率95%
幼いほど効果が高い
死亡率:成人の場合、10%が劇症肝炎となり、死亡する場合がある
乳幼児の場合、慢性肝炎、肝がん、肝硬変と闘っていかなければならない場合がある
四種混合
百日咳症状:せきが長く続く、呼吸困難、チアノーゼ、けいれんが起こる
成人の場合は重症化はしない
1歳未満の乳児の場合、命にかかわる
ワクチン未接種の場合、かかった人が傍にいると、8割以上の確率で感染
*注意点* 大人になると効かない
ジフテリア菌への感染起こると、高熱と咳が出る
重症になると呼吸困難、神経麻痺、心筋症で命を落とす
死亡率:10%
ワクチン接種の効果:95%減少
破傷風破傷風菌に感染すると、神経麻痺、筋肉の激しいけいれん、呼吸困難を起こす
乳児の致死率:80%
ほぼ100%減少(ワクチンによりほとんど確実に防げる)
ポリオポリオウイルスに感染し、四肢に麻痺を起こすと、死亡することも。
ポリオは、治療法がないためにワクチンによる予防が必要
生ワクチンにはわずかにポリオ発症の危険がある
不活性ワクチンであれば、発症の危険がない
死亡率:感染しても、9割以上は症状がでないが、麻痺が出現すると死亡する人が一定数いる(二百人感染すると、そのうちの5~10%)
BCG結核を予防する
結核は、数ヶ月の経過で改善するが、後遺症が残る可能性がある、かつ、二歳以下では死亡率も高い
結核の発病リスクが1/4になる
持続効果は10~15年
成人に摂取した場合、効くかどうかは不明
稀に、摂取部が潰瘍になる、リンパ節がふくらむなどの反応
重症な副反応がでることも
麻疹風疹混合
麻疹発熱、せき、鼻水、発疹、そして、合併症として中耳炎、肺、気管支炎、まれに脳炎
治療法がない
効果:2回接種で97%以上
*注意* 妊娠している女性は受けられないため、事前に受ける、または周囲の人が受けておくことが必要となります。
風疹麻疹に似た病気 発疹と熱が三日で治る。 大人になってかかると、重症
妊婦がかかると聴力障害などを持つ子供が産まれる可能性が高くなる
効果:1回 95% 2回 99%
*注意* 妊娠している女性は受けられないため、事前に受ける、または周囲の人が受けておくことが必要となります。
水疱瘡感染力が強く、空気感染する
ウイルスは神経組織に潜伏し、免疫が弱っている時に、帯状疱疹として出てくる。
ワクチンをしてもかかることはあるが、軽症で済む
成人で発症すると、重症かしやすい
副反応はほとんどない
二種混合
ジフテリアと破傷風のワクチンの同時接種のことです。
ワクチンには、定期摂取として推奨されているものの他に、任意性のものがありますが、これらは、病気にかかることのリスクと、ワクチンの効果の割合が定期接種とは異なります。
ロタウイルス症状:胃腸炎
価格:14900円程度
重症化しやすい
感染力が高い
治療法がない
80%予防
重症化しないという意味では95%予防
副反応として5%に胃腸炎症状が出る
自然感染の場合、免疫はできるが、ロタウイルスには様々な型があり、他の型に罹れば、また感染する
おたふくかぜ(ムンプスウイルス)価格:7000円程度
神経、内分泌系に広がる病で、難聴になる可能性がある
治療法がない
2回摂取で99%
2回受ける方が良い
ただし、自費のために、受ける率が少ない。よって、罹りやすいとも言える。
難聴になる人が多いという事実は無視できない。
副反応として、軽いおたふくかぜの症状などが起こることも
上記の二つについては、治療法がない病気にもかかわらず、定期接種になっていない任意接種のために、ワクチン接種者の数が少ない病気です。
それはつまり、流行しやすいということでもあり、一定数の人が難聴などで将来苦しむことになっています。
おたふくかぜについては、二回の接種でほぼ100%防げること、流行しやすいことを考えると、難聴になるリスクの方が高いと考えるのが、数値から見た結論ではないかと思います。
子宮頸がんHPVウイルス二感染すると、ごく一部のケースで、がん病変から、がんに
ウイルスは皮膚上にいるので、性交渉により傷がつくと、子宮に感染する。そのため、性交渉の可能性がある前にワクチン接種が勧められる
100%は予防できない
重篤なワクチンの副反応が報告されている
まだ、効果についてはデータの蓄積が少ない状況
ワクチン接種は、それぞれのウイルスに対して、効き方が異なる上に、実際にウイルスに感染した場合の対処方がある場合と、ない場合がある。
個別のケースで、ワクチンを摂取するかどうかを判断すべきですが、ワクチンには、一定数の副反応が起こる可能性を排除することはできません。
しかし一方で、ワクチンを摂取していなかったことにより病気が重篤化することもあり得るので、そのリスクについて理解した上で、受けない、受ける、を個人が判断するしかありません。
例えば、麻疹について言えば、治療法がありませんので、かかった場合にはただ経過を見守るしか方法はありません。受けておかなければ、かかった時には自分の体力に全てを委ねるしかないということです。
一方で、子宮頸がんのワクチンについては、未だに副反応について不明な点が多いのが事実です。しかし、ワクチンに一定の効果が見られ、将来に備えておくことで、救われる確率も高いと考える医師もいます。自分が副反応を起こすか、それとも子宮頸がんに罹るか、その可能性について分かる人はいないため、どちらが良いとは絶対に言えないのが現状なのです。
ワクチンに対する不安の一つに、副反応だけでなく、自閉症への懸念などが取り上げられたこともありましたが、これについては、完全な捏造であったことが分かっています。
昔は、あえて病気にかからせることで、成人になってから罹らないようにした、という考えがありましたが、そうした意図による罹患により死亡していった乳児たちがいたこと、傷害が残った人がいることをを忘れてはいけません。
特に、妊娠を希望している女性については、予め麻疹・風疹の予防接種を行う、または、抗体があるかのチェックをしておく必要があります。(自治体で無料で行っている場合もあります)
妊娠中に病気になった場合には、一定率で必ず子供に傷がいが残ります。妊娠した後に、周りの人全員に予防接種を受けてもらうというのは、現実的には難しいので、早めにチェックするようにしましょう。
免疫の関係から、ワクチン接種ができないという人もいます。
そのため、病気が流行しないことを祈るしかない立場の人がいるのは事実です。
しかし、ワクチンを摂取するかどうかは、決定が個人に委ねられているものであり、そのワクチンの効果と、副反応、自分の免疫の状態や注射に対する恐怖など、あらゆるものを合わせて複合的に判断しなくてはいけません。
ただ、乳児や幼児への摂取については、親の責任となるので、これは、親が判断しなくてはならないことですが、過剰なバイアスや、大人の身体と比較しての判断で摂取の機会を奪うといった形は避けるべきだと思います。
大人になって摂取できないもの、重症化する恐れの高いもので、子供に免疫的な問題や、注射への過度な怖れがないのであれば、受けさせることを考える方が、将来の為と言えるでしょう。
ワクチンを拒否するとしたら、その副反応が怖いから、免疫力がないから、注射そのものから起こる反応が怖いからといった理由になると思いますが、全ての予防接種をまとめて考えることはせず、病気ごとに判断するようにしましょう。
接種の効果についての見解が分かれるのはインフルエンザワクチン
最も、摂取するか否かが別れるのが、インフルエンザワクチンではないかと思います。ワクチンの効果を疑う報告もあるからです。
ワクチンの効果は50%と、他の定期接種のワクチン、任意接種のワクチンと比較すると、効果が低い事は確かです。
しかし、主なワクチン接種の目的は、重症化の予防でもあります。
インフルエンザウイルスは、すぐに変異することがあるため、今あるワクチンが効かないということも起こり、ワクチンの効果がないというケースも出てきます。
ワクチンを打つことで発熱することもあり、インフルエンザワクチンについては、摂取、未接種のどちらかを選ぶかは、完全に自己判断でするべきです。
ワクチン接種については正しい知識を元に接種を決めよう
治療法のない病気については、予防摂取以外に防ぐ手立てはありませんが、日本では、予防接種は、定期接種でも義務ではないため受けないという選択はできます。
しかし、誰が将来病気にかかるか、または、かからないかという予測はできないため、慎重に、しかし、接種期間は限られているので、早く決めなければいけません。
ただし、モラルハラスメントのように、受けない人に対して、あなたが受けないせいで、周りに迷惑がかかる、という非難をするのは間違っています。
また、ワクチンという言葉に対する拒否反応を強く持っているために周りの人を巻き込み、ワクチンを受けさせない、というのもまた、他人の権利を侵していることになります。
これは、個人が正しく病気とその発生可能性を考えて決定すべきことであり、誰か、それは自分以外の全ての人間が決めることではありません。(子供の場合については、両親や保護者がよく話し合って決めましょう)
ただ、海外渡航や、海外の学校への留学を考えている人についてはこの限りではなく、予防接種の証明書がなければ渡航できない場所や学校があるため、予防接種は義務であるといえます。
例えば、発病すれば100%死亡するといわれる狂犬病のワクチンを接種せずに、狂犬病が当たり前にある地域へ行くことは、大変危険なことです。
コレラ、黄熱、腸チフスなど、海外渡航時に接種を求められるワクチンがあるのは、あなたの命と、周りの命との両方を守るためです。ウイルスが日本に持ち込まれた場合を考え、特定の地域に滞在した人には、帰国時に検査を求めることがあるのもこのためです。
かつては、ペストで、インフルエンザで、結核で、大勢の人々が死亡しています。現在では、これらの病気の多くは治療法が有効となり病気になっても治るものもありますが、治療が長引く場合や、治療法がないものもあることは忘れてはいけません。
全ての危険性と効果を考え、ワクチンの接種を行うかどうかを判断する必要があります。ただ、任意接種の予防接種については、効果が高い割にはお金がかかるからと受けない人が多い事実があります。ただし、一生難聴に苦しむ可能性を考えると、予防接種を受けた方が良かったと後で後悔するかも知れませんのでよく考えてから判断しましょう。
一時的にお金はかかりますが、保育園や幼稚園、学校では集団感染してしまう可能性が高いので、集団生活をする場合には、予防接種をした方が良いかも知れません。
みなさんのワクチンにたいする疑問が少しでも解決することを願っています。