就職に強く取得後独立が可能な宅建士は人気が高く常に需要がある
国家 | 比較試験 | 目安勉強時間 | 1日3時間勉強した場合 | 難易度 |
余裕を見て勉強したい | 300時間 | 100日 | B |
宅地建物取引士の設置は国で義務付けられているため資格取得者の需要が高い
不動産の売買を業として行う場合に必ず置かなければならないのが宅地建物取引士です。
土地や建物を販売する際には、その権利関係や物件や土地の状態を説明する重要事項説明が必要になります。国の指定でこの業務を宅地建物取引士は独占しています。
不動産業界は人口減少や景気の悪化もあり、全体的には落ち込み気味とも言えますが、それでも、どんな時でも人は家で暮らしていきますし、建物や土地が必要です。
人口が減少しても、人の移動はなくなりませんし、家や土地を求める人がいなくなることはありません。
特に人気の地域では、今でも地価は高騰していますので、不動産を売買するという点において、仕事がなくなることはないと言えます。
事務所毎に宅地建物取引士の資格を持った人材が必要な事もあり、常にどこかで募集がある資格です。
宅地建物取引士の仕事内容は賃貸・売買の仲介に伴う重要事項の説明など
最も一般的な業務のイメージは街の不動産屋さんです。多くの人が、一度は訪れたことがあると思いますが、訪れたことがない人も、窓ガラスにずらりと物件の間取りが貼られた、月額いくらと書かれた物件の案内を見たことがあると思います。(地図や物件情報の書かれたこの用紙をマイソクと呼びます)
物件情報を掲載し、引越を検討している人に物件を案内し、賃貸契約を結んだり、売買契約を結んだり、オーナーさんと取り次ぎをしたり、管理会社と連携を取ったりする事が、宅建士の一般的な資格を生かした働き方です。
こうして経験を積んだ人の中には、宅建士の資格を生かして海外不動産の取引を行う海外事業部に務める人もいますし、不動産系企業の社長になる人もいます。不動産関連業務であれば、アプリを開発してオーナーと借りてや売り手をつなげるなど、自分で新しい仕事を生むこともできます。
資格を利用した就職方法
宅建士の資格自体が人気ですので、中には資格を教える先生になる人もいます。
最終的には独立する人や家業を継いで不動産会社の社長になる人もいますが、宅建士を生かした職は、営業職の傾向が強く、人と話す、関わることが得意な人に向いていると言えます。
研究職や事務職というよりは、メインの仕事である不動産の売買については営業である面が強い資格です。話すことやコミュニケーションが得意であったり、または特殊な背景を売りにできる強みがある人(24時間営業や、事故物件取扱など)などは、宅建士の資格を大いに生かせることになるでしょう。
宅地建物取引士の受験資格と日程と費用のまとめ
誰でも受験できます。
受験に合格して、仕事として資格を利用する場合には資格登録が必要になります。
資格登録ができる人については、勉強内容の中に含まれます。(不適格者の場合には登録できません)
50問の四択によるマークシート式
- 土地の形質、地積、地目及び種別並びに建物の形質、構造及び種別に関すること
- 土地及び建物についての権利及び権利の変動に関する法令に関すること
- 土地及び建物についての法令上の制限に関すること
- 宅地及び建物についての税に関する法令に関すること
- 宅地及び建物の需給に関する法令及び実務に関すること
- 宅地及び建物の価格の評定に関すること
- 宅地建物取引業法及び同法の関係法令に関すること
宅地建物取引士の試験内容についての詳細
主な内容は不動産に関する規制や価格関係の内容
土地や建物を売買する際に必要となる法令上の知識を問われますが、主に、建物や土地の条例や開発について、建物の形や道路に面している際の建物の規制について、建物や土地に関わる権利関係、税金についてと、価格の決定方法などが出題されます。
民法について、特に相続については理解しておく
その他にも、民法の相続についてなどの問題も出ます。
最後の詰め込みでも良いので改訂された内容は頭に入れておく
新たに改訂された法律についてが1問~2問ほど出る可能性が高いため、4月以降に出る改正内容についても確かめる必要があります。(購入したテキストで、追加の内容については別途取り寄せができます)
四択形式ですので、誤りを探せと問われているのか、正解を探せと問われているのかを確認した上で、誤りの部分を確認する、または正解部分を確認して、四択のうちの1つに答えを絞ります。
資格試験の取得方法と勉強期間について
宅地建物取引士の試験の難易度
独学が得意な人もいれば、誰かの授業を受けることで理解が進む人、学校に強制的にでも通わないと勉強に身が入らない人など様々なタイプの人がいますので、一概に難易度を設定するのは難しいのですが、独学で取得が可能なレベルの資格ではあります。
ただ、確実に1年以内に取得したいなどの目標がある場合や、教育訓練給付制度(雇用保険を支払っている方が一定の基準を満たした場合に20%の費用の還元が受けられる制度)などを利用する場合には、学校に通うのが良いと思います。
学習期間は講座によって異なりますが、ほとんどが半年前後です。週二回の通学で9ヶ月間程度ですが、通信の場合でも10ヶ月程度を見込んで勉強を開始すると、焦らずに済みます。
独学の場合には、年初頃にはテキストを手に取って学習を開始すると良いでしょう。
職業訓練を利用して無料で学習する+手当がもらえる勉強法
職業訓練の制度を利用すると、仕事をしたことのない無職の方でも宅建士の勉強を生活手当をもらいながら勉強することができます。この場合には、やる気があれば、無料で講座を受ける上に、手当金が10万円程毎月支給されます。(求職者支援制度の詳しい内容はこちら)
求職中の方で、雇用保険を受け取っている場合にも、対象となる講座に宅地建物取引士があれば、講座を受けることができます。
ただし、宅建士の講座を実施している都道府県には限りがありますので、自分の住む地域や引越を検討している地域に講座があるか、また、受講できるかをハローワークで確かめましょう。
通信講座や通学講座を生かして高率良く確実に受かる勉強法
通信学習の良い点は、学習の速度やカリキュラムが指定されているために、学習のポイントや進度を自分で判断する必要がないことです。
独学の場合には、テキストのみで対応しようとしてしまう事が多く、いざ過去問を解くとテキストより難しく感じやすくなります。通信の場合には、DVDなどで授業を受ける事ができたり、質問ができる制度があるために、自分一人でやるよりはずっと勉強しやすくなります。
ただし、通信の場合も独学と同じで自分のやる気やスケジュール管理に依存する面が大きいので、自己管理が面倒な人や、苦手な人は初めから学校を選択する方が良いでしょう。
宅地建物取引士の資格の勉強で最近大きく人気が高いのは通信学習のフォーサイトです。金額の安さや内容の分かりやすさで人気が出ています。
宅建の通信学習として継続して人気が高いのがTACやLECの通信講座、資格の大原、ヒューマンアカデミーなどのメジャーな学校の通信用のパッケージです。学習内容は同じですが、教え方やテキストの見やすさなどの違いが勉強に影響しますので、一度資料請求をして中身をチェックしてからどの勉強方法を行うかを決めましょう。
通学講座については、TAC、LEC、資格の大原が3大勢力と言えます。それぞれ講師陣が素晴らしいという声が高いですが、地域によって講師陣の良し悪しは異なります。
必ず見学をして、この先生の授業は受けたいと思える先生を選びましょう。
講座によって、大学生協からの申込による割引や、早期申込割引を受けることができるためにもっと安くなる場合があります。
学校名 | フォーサイト | TAC | LEC | 資格の大原 |
特徴 | 通信学習に特化して人気が出て来ています。 サンプル教材を取り寄せることができます | DVDとWEB通信、通学があります。 テキストの評価が元々高いため、通信も学校もテキストも人気です。 おためし講座があります。 | DVDとWEB通信、通学があります。 テキスト2大勢力の1つです。(TACかLEC おためし講座があります。 | DVDとWEB通信、通学があります。 通学3大勢力の1つです。(TACかLEC おためし講座があります。 |
金額 | 通信:5万3千円程度 | 通信・通学:17万円程度 | 通信・通学:14~16万円程度 | 通信・通学:15~17万円程度 |
※気になっている学校の資料は取り寄せて見比べましょう。ほとんどの学校がおためし講座を開講しています。先生との相性は大きいので、学校から選ぶというより、自分が良いと思う先生のいる学校を選ぶのがベストです。
資格の学校の場合、どの講師に教わるかによってもやる気が大きく左右されますし、家からの行きやすさや、建物や内装などの環境によっても大きく左右します。
3つの学校どれもが定評のある学校ですが、地域によってその評価はまちまちです。
近くにある学校は全て見学してから決めましょう。
独学で宅建士に受かる方法
独学でも十分受かる可能性はあります。
不動産関係に詳しい人や、法律や条令を覚えるのが得意な人は、おすすめ本を勉強するだけで合格できると思います。独学の場合には、過去問やTACなどが提供しているテキストと連携したアプリを利用して問題を解くことで知識を定着させると良いと思います。
TACのテキストが相性の良い方の場合にはTAC出版でまとめて購入すると安くそろえることができます。パックにして安売りしている時もあるので、まとめて購入するとお得です。
LECの書籍が相性の良い方の場合はこちらでまとめて購入するとお得です。
独学の場合には、下記のテキストをおすすめします。
宅建士の教科書的なテキストを1つ、そして問題集を1つ、民法が苦手な場合には民法のテキストを1つ行うことで、学習内容はカバーできます。
これに加えて独学者がやるべきことは以下の通りです。
1.問題集を項目ごとに読んで、すぐにアプリで問題を解く
2.過去問を早い段階で解いて傾向をつかむ
3.問題を解きながら問題集を読み込む
4.法改正について最後に詰め込む
独学が大変な理由は、指導者がいないために間違った方向に学習が進んでいても、なかなか方向転換できないことです。理解していることと、問題が解けることは必ずしもイコールではありません。
問題の傾向や理解のポイントを掴むことで、暗記すべき場所が分かってきます。
早めに問題に取り組むこと、アプリなどで問題慣れすることが大切です。
合格率が一定なのが宅地建物取引士の特徴
気になる資格の合格率は毎年15%程度で変わりません。
なぜなら、その年に受験した人の中から15%程度しか合格させないからです。なので、点数で合格する訳ではありませんので、ある程度余裕を持って合格できる範囲を目指しつつ、しかし完璧は目指さないことが大切です。
合否が問われる資格なので、満点で合格する必要はありません。得意な部分で点数を稼ぐなどして、明らかに難しい問題にはこだわらないことも大切です。
求人情報の量と年収の目安
気になる就職先や年収を調べるには、大手のサイトで仕事を検索するのがベストです。
圧倒的な求人数のあるリクナビで検索すると、宅建資格を求める求人がずらりと並びます。それだけ宅建士は求められている資格だという事が分かります。
転職や就職を考える上では、リクナビが何より見やすいので登録してチェックするのがおすすめです。
また、不動産業界に特化した求人宅建Jobエージェントなら、宅建の仕事だけを選んで確認することができます。
年収600万円以上の方で資格を生かした上での不動産業界への転職を考えている方はビズリーチも確認しましょう。
地域によっても年収は異なりますが、一般的な年収は300万~800万までと幅広いですが、安定して仕事が得られる資格です。
独立を目指せる資格でもある
宅建士の資格には年齢制限がありません。80代で資格を取得して独立開業して有名になった方もいますし、やり方次第で開業した会社を大手企業に成長させることもできます。
学歴や職歴も関係ありません。
借り手のニーズを満たす物件を紹介する、手数料を安くするなどして一躍有名になる人もいますが、安定した経営を行い、収入はそこそこに息長く仕事を続けていく人もいます。
家や土地に興味がある、間取りを見ているのが楽しい、相手の希望を叶えてあげたいなどという想いのある人であれば、宅建士は向いていると思います。
1円~上限は未知数まで稼げる仕事です。
どの資格にも言えることですが、生かし方はその人次第になりますが、宅建士は比較的取りやすく、仕事に結び付きやすい資格と言えるでしょう。
ダブルライセンス、トリプルライセンスを目指す人は方向性を確かめてから
土地と建物の取引の全てを1人でできるようにするには
土地の売買は、以下の流れが必要になります。
建物の状況を確かめて書面にする → 売買を行う → 権利者を登記する
土地家屋調査士の資格があると、建物の測量などを行うことができます。
これに、司法書士の資格があると、建物や土地の登記ができるため、宅建士の資格があれば測量から売買、そして建物の登録までの全ての業務を行える事になります。
この場合、独立や起業を考えていくことになると思います。
不動産を管理するスペシャリストを目指すなら
不動産の管理業務で幅を広げる場合には、マンション管理士や管理業務主任者の資格を取る人もいます。
この場合、デベロッパー(開発業者)やマンション管理を専門とする会社などの就職に有利ですし、就職した後にこうした資格を取得していく人もいます。
不動産の資格で研究職に就きたい場合の資格
不動産に関連した難関資格の1つに不動産鑑定士があります。
不動産鑑定士は、建物や土地の評価額を算出するのが主な仕事です。投資物件の評価額を決定したり、売買の評価額を決定する仕事を行います。
就職先は大手の鑑定事務所や、デベロッパーなど、または、コンサルティング会社が多くなります。不動産業界に興味があるけれど、営業よりも研究や調査がしたい人の場合には不動産鑑定士が向いていると言えます。不動産鑑定士になるために宅地建物取引士の資格は必要ありませんが、不動産に詳しくなるための入り口として先に取っておくのも良いと思います。
その他にも、法律関係の資格とは相性が良いですし、建築士や測量士の資格と合わせて持っている人もいます。
宅地建物取引士は、士業の仲間入りを果たした国家資格です。これからも、活躍の場が十分用意されている資格ですし、移民の受け入れなどが進めば、英語やその他の外国語を生かした外国人向けの不動産会社の経営なども需要が出てくるでしょう。生かし方次第で可能性が大きく広がっている資格ですので、自分に合った学習法で資格を取得し、それに合わせて就職活動や独立を考えてみると良いと思います。