理想に振り回されダメな人を理想の人と思い込まないためにできること
「誠実な愛」を求めるほど、好きな人ができず人を愛せるか不安になっていく
人が人を好きになる、好きになろうとする理由は様々ですが、恋愛をさっと始めることができる人は、人に興味を持ちやすく、ほんの少しドキッとしたという感覚だけで付き合うことができたり、恋に恋している状態を楽しめる人たちです。一方で、「人を好きになりたい」と思いながらも踏み出せない人や、恋人ができても「何か違う」と感じてしまう「愛せないこと」に悩みを抱いている人の多くは、ノリで付き合うような軽い恋愛ではなく、愛情の深い誠実な愛を求めている傾向があります。
「自分から人を好きになったことがない」人や、「人を愛せるか分からない」という人の多くは、人を好きになろうと思う背景に「継続的に続く愛情が欲しい」と感じている場合が多く、興味や好奇心だけの恋愛や、一時的にドキドキしたい恋愛では得られない、もっと深いところで繋がることができる「無条件の愛」や「運命の相手」を欲しています。
人を愛するということがどういうことか分からないという人の中には、幼い頃に「無条件に愛された」経験があまりないという場合も多く、家族から受けたかった愛情そのものを恋愛の相手に求めている場合もあるため、例えば誰かと付き合いだしても、相手に愛情が重いと思われたり、反対に、重いと思われるのが嫌で本性を出せなかったり、相手が自分と同じ愛情を持っていないと感じて自分から別れてしまったりする場合もあります。
「心から好きになれる相手」を探している人も、学生の時には恋愛ができていたという人はいますが、恋に恋しているような恋愛は長続きすることがなく、一度恋愛から離れてしまうと、その後は「恋愛」が「結婚を意識したもの」に変わることで、軽く恋愛を始められなかったり、付き合ってみても「何か違う」と、すぐに別れてしまうといった展開が続きます。
そうなると、イメージの上でばかり「理想の相手像」が膨らむものの、実際の恋愛に踏み出すのも面倒で、「愛」が突然降ってくるのをただ待っているだけという状況になっていきます。そうするうちに、恋愛への理想が高くなると、危ない相手に引っかかりやすくなっていきます。
心から愛せる人を探す人ほど「支配欲」の強い人に捕まり、思い込みで恋愛してしまう
恋愛をしたいけれどできないという焦りを感じるようになると、自分が良いと思った相手にアピールするのではなく、「魅力的な言葉」を使って言い寄ってくる相手にコロッと騙されやすくなっていきます。人を支配するのが得意な人ほど、「心から愛せる人が欲しい」という願望を持っている人を見抜くのが得意です。
支配欲のある人は、「こんなに人を好きになったことはない」とか、「絶対に幸せにする」といった、愛されたい人が喜びそうな言葉をぶら下げて、すり寄ってきます。
「本当の愛を求める人」は、相手を都合よく振り回したい人にとっては、喜びそうな言葉だけ与えてれば飛びついてくれる格好の餌食です。そして、喜んでくれそうな言葉を次々と吐き出す人からの強い押しに負けて恋愛を初めてしまうと、ここからは、「思い込みによる恋愛」が始まります。
本当の愛を求め、「運命の人だ」と必死に信じようとして相手に尽くす恋愛は、本当は自分が求めていた恋愛とは違います。ですが、定期的に相手が吐き出す愛の言葉を信じるようになってしまうと、なかなか「この恋愛は間違いだ」と認めることができなくなり、いつの日かボロボロになってから、本当は好きでもない相手に振り回されていただけだと気づくこともあるでしょう。
「誰が本当に好きな人なんだろう」と悩む人の中には、本当のところ、性別や性格など、あらゆる面で「自分が好きになる相手がどんな人か全く検討が付かない」と思っている人もいるはずです。心から信用でき、信頼し合える相手と人生を歩みたいと思いながらも、具体的にはそれがどんな相手かイメージできず、ただ、理想的な母親が無条件に子供を愛するような愛情が恋愛にもあるはずと信じ、無いもの探しをしているという可能性があります。
人が、恋愛がしたい、と感じたり、恋愛をしなければいけないような気がするのは、世間的なプレッシャーによるものであったり、一人が寂しいという孤独への恐怖や、二人でいることに対する楽しさ、幸せを想像するからでもありますが、無条件の愛が欲しいといった「無いもの探し」をしてしまう人の場合には、自分が愛されたという記憶が薄く、誰かを愛するよりも、本当は自分が愛されたいと感じている人が多いものです。
今現在「好きな人」がいて、その人と一緒に歩むことが幸せだと感じている人にとっては、恋愛をしている理由、パートナーと家族になった理由は、「その人がいない人生が考えられない」からであったり、「その人といる方が人生が楽しいから」という、相手ありきの答えが出ると思います。
ですが、パートナーがいてもその人が運命の人とは感じないと思っていたり、心のどこかで相手に対して何か違うと感じている人や、そもそも好きな人ができない、人を愛することが分からない、自分の理想の相手がいないという悩みを持っている人は、「この人がいない人生が考えられない」と思える人を探しているのに、実際には「自分に対して、この人がいない人生が考えられないと思ってくれる人」を探してしまっている人たちです。「自分に対して、いないと生きていけないという人」を探しているというのは、恋愛の視点が自分中心になり過ぎてしまっていることを意味します。
自分が、「相手がいないと生きていけない」と思えるほど人を愛したいという想いが、相手への依存に近い感情になってしまうと、「相手ではなく、常に自分のことを物事の中心で考えて優先してくれる人」を欲するようになります。
「恋愛したい」理由が曖昧だと、恋愛を理想化する傾向が高くなる
恋愛に消極的過ぎて理想化が進んでしまう場合
恋愛をしたいと思っていても、相手がいない、上手に相手を見つけられないという場合や、そこまで恋愛がしたい訳じゃないけど何となく一人は嫌な気もする、という消極的な恋愛への気持ちを持っている場合、恋愛をしたい理由がぼんやりとし過ぎているために、誰と恋愛しても上手くいかなくなってしまう、という事があります。
そして、恋愛をしたい理由がぼんやりとしているために、「こういう人は嫌だ」という相手も決まっておらず、結果的に言葉巧みな相手に騙されて、恋愛でボロボロになるケースも出てきてしまいます。
理想が高い訳ではないけれど、「いいな」と思える相手がいないという場合には、恋愛をする動機が足りていないことで、恋愛に消極的になり過ぎているのかも知れません。
みんな恋愛しているから、恋愛した方が良い気がする。
誰かと一緒にいる人の方が、幸せそうな気がする。
一人だと寂しいから、誰かに寄り添っていて欲しい。
恋愛をしたいと感じる理由が上記のようなものであることはいたって普通のことですが、恋愛をしたい理由がそこで止まってしまうと、誰かとの出会いがあっても、相手からの動きを待ってしまうために自分からは動こうと思わなくなってしまったり、誰を見ても、「何か違う気がする」と感じるようになります。
なぜなら、自分が本当は何を望んでいるのか、という具体的な物事が見えていないため、「動きようが無くなる」からです。これは、恋愛に限ったことではありませんが、自分でしっかりと計画を立ててやろうと決めたことでなければ、人は、なかなか始められなかったり、中途半端になりがちです。語学や資格の勉強しようと思い立っても、特に何もしないまま過ぎてしまう場合がその例です。
恋愛をしたい気持ちは強いものの理想と現実が大きく離れていく場合
また、イメージの中で、肥大した「運命の相手像」を望んでいる場合にも、好きだと思える人が全く現れない、という状態になりやすいものです。イメージが先行し過ぎると、ちょっと違う面が出てきただけで、「やっぱり違う」と思いやすいこと、さらに、どうしても上から目線で人を判断しやすくなってしまうことが、相手を遠ざけてしまうからです。
恋愛に対する理想が高い人は、自分の持つイメージとの落差が怖くなります。背が高い、年収○万円以上といった、はっきりとした条件の方が、かえってそれをクリアする人は見つけやすいですが、ぼんやりとしたイメージで、「自分に合わせてくれる人」などと思っていると、少し自分のタイミングとズレたことが起るだけで、「この人は運命の人じゃなさそう」と決めつけてしまいやすくなります。
理想が高い場合、恋愛をしても長続きしなかったり、出会いの場面で「理想の相手がいない」と落胆してしまうこともあるでしょう。ですが、具体的なイメージのない理想の相手を探すことは、見えない相手を探すようなもので、あまりにも「理想」に引きずられて相手を値踏みするようになってしまうと、恋愛できない体質になるか、言葉巧みな人間にコロッと騙されるようになってしまいます。
はじめからピッタリの相手は詐欺師。運命の相手は二人で協力してつくるもの
自分は全く努力していないのに、いつも自分をエスコートしてくれて、いつも自分を喜ばせてくれるような相手が現れたら、詐欺を疑いましょう。恋愛のはじめから、異常に高いハードルで挑んでくる相手には、何か裏があると考えるべきです。
恋愛をすることそのものに意義を感じているような恋愛に酔っているタイプの人や、自分にとって都合の良い相手を見つけて、一生自分に尽くさせようと考えている相手は、「これでもか」というくらい相手を持ち上げたり、はじめだけ尽くしてくることがあります。ですが、本来、恋愛において、はじめはどこかが合っていないのが普通です。合わない部分はむしろ、たくさんあっていいのです。
肝心なのは、「自分にとって譲れないこと」に対して、お互いに寛容になれるかということと、「怒りを感じることや、許せないこと」が共通しているかということです。
共通していた方がいい部分というのは、「好きなこと・好きなもの」ではありません。好きな映画、趣味、食べ物が違っているということは、お互いの見聞を広げる意味では、むしろプラスになります。
もちろん、絶対に許せないと思っている趣味を相手が持っているという場合には、「怒りを感じること、許せないこと」が共通していないので上手くいきませんが、「好きなこと」が違うことは、相手の自分とは異なる魅力であって、違ってていいというところが大切です。
そのため、「あれが好き」というと、「同じ」という答えばかりが返ってくる相手の場合には、注意した方が良いのです。同じ物を好きだからといって、「許せないこと・怒りを感じること」は同じとは限らないからです。
怒りを感じること、許せないことは「自分で」しっかりと認識するようにする
例えば、人混みがどうしても苦手だから、人混みに行くのが好きな人とずっと一緒に居るのは難しいと感じる人は、人混みが同じく苦手な人といる方が、ストレスを感じる機会が少なくなります。
ゴミのポイ捨てをする人はダメ、車の運転が荒くなる人はダメ、態度が人によって変わる人がダメ。
このように、より具体的に、自分にとってこれはダメだな、ということを認識しておくと、自分の許容範囲が見えてきます。
もちろん、余りにも細かい規定を作ってしまうと、共有できなくて当たり前という場合もあります。
例えば、電車で高齢者に席を譲らない人が嫌だという人も、状況によっては譲らない場合があっても当然だと思うでしょうし、具体的に決められないこともあると思います。だからこそ、例え運命の相手でも、「譲れないこと・怒りを感じること・許せないこと」が全て重なることはないので、ある程度は許容範囲として決めておく必要があります。
とても仲の良い友人でも、家族でも、ある程度は「違い」があるはずです。人との接し方、考え方が違う部分があっても、友人であれば許せる、家族なら「まあいっか」と思えるという部分を探してみると、それと同じ程度には、恋人に対しても「許せる」ようにならなければ、関係を長続きさせるのは難しいということが分かると思います。
例え長く付き合うことができても、結婚することができても、「ずっと仲良く過ごす」ことは、努力なしにはできません。仲の良い友人関係が続くのが、お互いにある程度気遣いをするからであるように、恋人に対しても長く続けたいのであればお互いにきちんと気遣いをする必要があります。
頭の中で固まってしまった「理想」は現実ではないことを認識しておく
はじめから劇的に好きだと思えたというような、恋愛映画や漫画のような感情を抱ける人ばかりで世の中ができている訳ではないので、運命の相手という考え方は、世の中に蔓延しているイメージでしかありません。仮に劇的な感情で恋愛を始めた人も、長続きさせるためにはきちんと努力をしているので、恋愛が難しいと感じる人は、「恋愛のイメージ」に変に囚われていないか、イメージの見直しをしてみましょう。
恋愛が上手にできないと悩んでいる人の多くは、ふんわりとしたイメージの「理想」に囚われてしまい、なかなか自分から動けない場合も多いものです。特に、自分と同じであること、自分ができることができる人を探すほどに、恋愛は難しくなります。
理想を設定し過ぎてしまうと、そこに合うひとばかり探すようになってしまうことで、この人も違う、あの人も違う、という相手を弾く思考に繋がります。
ですが、「許容範囲」をしっかりと決め、自分にとっての譲れないポイント、許せないこと、怒りを感じることが見えてくると、少なくともそこに理解を示してくれる人だな、と分かれば、「好きなこと」が違うこと、自分とは違う相手に関心が持てるようになります。
恋愛において重要なことは、「自分の嫌なこと」をしっかりと把握しておくことです。
例えば、外面が良く、愛の言葉をたくさんくれる人でも、その人が本当はモラハラをするような人だったら、一緒に居続けたいとは思わないはずです。「自分を特別扱いしてくれること」に人は嬉しさを感じますが、「人を傷つけるような扱いをする人」が嫌いだとはっきりと分かっていれば、冷静に相手を観察できるようになり、「本当は嘘を付いている言葉だけ」の相手を見抜けるようになっていきます。
本当に思い合う恋愛というのは、どちらも努力する恋愛なので、自分は何もしなくても良いということはあり得ません。ただ、相手のために何かをすることが楽しめる相手を探すことが重要です。
「相手をうまく愛せない」という悩みに、つい「自分ありき」になってしまうという思考が隠れているのだとしたら、「相手ありき」になれるように、自分中心の考えを見直すことも大切です。
出会いの数を増やしたり、関心が同じ人を探して具体的に動くことが肝心
恋愛においてここだけは譲れないというポイントさえ決めてしまえば、その後に必要なのは出会いです。外見や、所有している物、ステータスなどについて譲れないポイントがあまりに多すぎる場合には、いくらそれが具体的でも確率論的に相手を探すのは難しくはなりますが、ぼんやりとした理想を持っている時よりは、「譲れないポイント」を備えている相手を見つける可能性は上がるはずです。
ただ、多くの人にとっては、譲れないポイントが心理的な面や行動に関することである場合が多いと考えられるので、それを知るためには、会話を頻繁にしたり、共同で作業を行う場を準備する必要があります。
そのためには、自分と同じ感性の人が多く集まりそうな場所に出かけたり、そうした場で趣味の活動、社会貢献などをするようにしましょう。
興味のあるイベント(山登りやスポーツ、キャンプなど)に参加したり、ボランティアをしたり、趣味のクラブ活動をしたり、学校に通ってみたり、オンラインゲームに参加したり、ネット上にあるコミュニティに参加してみるなど、出会いの場は実は色々あります。
はじめから恋愛目的の出会いの場も良いですが、できれば、言葉ではなく、行動で相手を知ることができる、何らかの作業を行う場で出会う方が、「相手がどんな動きをする人か」が分かりやすくなります。「恋愛だけが目的だと頑張れない」という場合もあるので、趣味の場を利用することはとても大切です。なるべく自分が出せる場所を見つけられるまで、諦めずに色々と試してみることも大切なので、一度や二度では諦めず、色々な出会いの場に行ってみましょう。
譲れないことのポイントがはっきりとしていて、恋愛ではなく結婚が目的の場合には、「お見合い」や安全なマッチングアプリなどを利用するのも良いでしょう。お見合いであれば、結婚や子育てなどの目的を共有しやすいこと、それなりにお金をかけているので背景の調査があることから怪しい人に引っかかり難いというメリットがあります。マッチングアプリの場合には、ある程度は自分自身に見抜く目が必要で、一度や二度で簡単に「良い人」だと結論付けないことも大切です。自分の目的にあった相手探しを心がけましょう。
パッと恋愛モードに入れないという人は、情熱的な恋愛ばかりが「恋」ではないと知ることも大切です。「一緒に過ごしていたら楽しそう」と思える相手と、長期的な関係を築く上では恋愛モードより、「人間」対「人間」の関係性が大切です。この場合、性別も全く関係ないので、自分が一緒にいたいと感じる相手と、長くいることができれば、その人が「運命の相手」となり、「好きな人」になっていきます。
「好きな人ができない」「人を愛せるか不安」という人でも、好きな家族がいる、友人がいる、犬や猫などがいるという場合には、同じように誰かを愛情で感じられる日がきます。家族や、友人や、犬や猫に感じるような感覚も、十分に愛だからです。「恋愛は特別」という人も中にはいますが、長く続くうちには、恋愛も情の世界に移っていきます。
ジェットコースターのような恋愛をしたい人は、そもそも「好きな人ができない」と悩むことはないと思いますが、激しい恋愛がしたい場合には、深く考えずにのめり込んで見るしかありません。ただ、冷静に「好きな人ができない」「愛し方が分からない」と悩める人は、コツコツと、積み重ねるような恋愛の方が向いていると思うので、まずは自分の譲れないポイントを知るところからはじめていきましょう。