全都道府県での就職に強い測量士の国家資格は独占業務が職を保証する
国家 | 資格難易度別 | 目安勉強時間 | 1日2時間勉強した場合 | 難易度 |
測量士補 | 100時間 | 50日 | C | |
測量士 | 200時間 | 75日 | B- |
測量士にしかできない独占業務が職を保障するインフラを支える専門家
オレンジ色のトランシットと言われるカメラのような機械をのぞき見る人の向かいには、赤と白に色分けされた棒を持って立つ人がいる。
このように、測量士の仕事を目にしたことのある人は多いと思います。
土地に関わる測量の仕事は全て測量士の仕事です。測量それ自体は、測量士や測量士補の資格を持っていない人にはできないため、独占業務として仕事が保障されています。
機械を用いて河川やダムなどの公共事業のための測量も行えば、山などの勾配のある土地での測量もしますし、住宅街の土地の測量や道路の測量も行います。
土地に関する工事が行われるところに測量士有りといえるほどに、重要な仕事です。
また、測量士の仕事は全国どこでも求められる仕事にもなります。職によっては地方にはない仕事もありますが、測量の仕事は全国土地のあるところはどこでも対象となってきます。
測量士として活躍している人が次ぎに目指すことの多い資格に土地家屋調査士がありますが、測量士との違いは登記ができるかどうかです。
家の調査を行い、登記のための書面を作ることができるのが土地家屋調査士です。土地家屋調査士だけが、表題部と言われる登記の部分について処理を代行できることになっています。
同じ登記を扱う仕事に司法書士がありますが、司法書士が代行できる登記申請は権利の部分です。これは、住宅ローンを組む際や、ローンを払い終えた際に、抵当権などの権利設定を行う、解除するといった登記申請の部分になります。
測量士は、主に土地の測量を行うことが仕事になります。数値を扱う仕事でもあり、正確性が求められる仕事でもあるため、向き不向きがある仕事です。
最近の技術の進歩により、扱う機械やパソコンのソフトもどんどん進化していくため、そうした技術を扱うことに魅力を感じる人が向いていると言えます。
地図づくりのための測量の仕事や、土木建築のための測量の仕事など、就職先となる測量事務所が扱う仕事は多岐にわたります。場合によっては、山や川沿いなどの自然環境で暑い日も、寒い日も計測を行う必要があるため、体力も必要な仕事と言えます。
測量士と測量士補の違いと就職の仕方
測量士には、測量士補と測量士の2つの資格があります。
測量士補は大学などの教育機関で指定の科目を取得することでも資格保持者になることができる資格です。大学で、地理に関する科目の単位を取得した人は、申請すれば測量士補として登録できる場合があります。
土木関係や測量を専門とする会社には、測量士補の資格からで十分就職できます。
測量士が、測量士補に対して測量の計画を立てて指示をする立場にある会社もあれば、測量士も測量士補も同じ仕事を請け負う現場もあります。
必ずしも測量士でなければ就職できない訳ではありませんし、測量の経験そのものが転職などでは重視されますので、測量士補の資格でまずは就職をするという道が、測量士としてのキャリアを積む上ではベストと言えるでしょう。
測量士を目指すべき理由としては、今後のステップアップのためや、会社内の環境で測量士が優遇されている場合になると思います。他にも、独立して測量会社を起業しようと考える場合には、測量士の資格を取る、さらに土地家屋調査士の資格を取るなどを検討すべきところです。(土地家屋調査士についてはこちら)
測量士の受験資格と日程と費用のまとめ
測量士・測量士補の試験内容についての詳細
測量士・測量士補については、試験を受験しなくても下記に該当する場合には登録して測量士補になることができます。
受験することなく測量士補になれる人測量士補の場合大学で測量に関する科目を修め、卒業したもの
短大・高専で測量に関する科目を修め、卒業したもの
測量に関する専門の養成施設で1年以上学習したもの等
受験することなく測量士になれる人大学で測量に関する科目を修め、卒業し、測量に関する1年以上の実務経験があるもの
短大・高専で測量に関する科目を修め卒業し、測量に関する3年以上の実務経験があるもの
測量に関する専門の養成施設(指定あり)で登録を受け、2年以上の実務経験のあるもの等
測量士補の資格取得には、予備校や独学用のテキストがたくさんあり、比較的簡単に資格取得ができます。
測量士の場合には、午後の科目に選択科目が出てきますので、受験を検討される方はその選択科目の選び方が重要になります。基準点測量、地形・写真測量、地図編集、応用測量の4つの中から2つを選んで回答しますが、選択の仕方で勉強の度合いが異なりますので、どの科目が自分に合うか合わないを早めに決定せずに、3つほど学習を進めながら2つに絞り込むのが良いでしょう。
測量士補の仕事があれば午前の試験は免除されるのが土地家屋調査士です。測量関係の仕事に就くことが目的であれば、測量士補で就職できます。方向性によって、取得する資格を慎重に選びましょう。
測量士に合格するための学校選び
測量士補も測量士も、独学で合格することは可能と言われていますが、学習のしやすさやスピードを考えると、通信学習などは利用した方が効率は良くなると思います。
大学などの学校で認定できるシステムがある場合には、測量士補の資格を取得して就職をした方が、経験を積めば測量士にもなれますので、資格取得より就職を優先した方が良いと思われます。
そうした事情もあり、測量士補のための予備校講座は多いのですが、測量士のための講座は少ないのが現状です。
測量士の取り方のルート測量士補→就職→1年~3年で測量士に登録できる
測量士補→土地家屋調査士の資格取得
土地家屋調査士を目指すために測量士補の資格を取りたい場合や、測量士補の資格を急いで取りたい場合には、分かりやすいテキストと講義のある通信学習などを取り入れると、確実に合格することができます。
測量士補の資格を通学で受講する場合には、15万円程度の費用がかかってきます。
一方で、通信で受講する場合には7万円以下と半額程度になりますので、自力で学習することができ、費用を抑えたい方は通信での受講が良いと思います。
ただし、土地家屋調査士になることを次のスキルの念頭に置いている方の場合には、土地家屋調査士に合格する方の50%以上が東京法経学院で学習しているということは知っておいた方が良いでしょう。
LECやアガルートなどのその他の資格予備校を経て土地家屋調査士に合格する方も大勢いますが、測量士補の学習はセットであることが多いので、単独受験なのか、スキルアップを視野に入れているのかによって選ぶ学校を変えると良いでしょう。
初学者向けの講義の予備校比較
土地家屋調査士の予備校は、現時点では東京法経学院とアガルートの2校が大きく支持されています。そのため、測量士補についても同予備校の評判が高くなっています。
テキストの充実度や合格実績、通学や合格後のサポートのことを考えると東京法経学院を、高率良く勉強を行い、自立学習で費用を抑えたい場合にはアガルートを選ぶと良いでしょう。
LECが近くにある、良い先生がいるという場合には、必ずしも上記2校がベストという訳ではありません。通いやすさや通信のテキストとの相性もありますので、気になるところは比べてから選びましょう。
学生などで大学生協が使える場合には、学費が減額されるシステムや、大学の地理関係の単位を取得することで測量士補の資格が取得できることがありますので、そうした大学のシステムも活用しましょう。
一般教育給付金を利用することで、ハローワークから学習の支援手当を受けられる場合があります。対象の講座に当てはまる場合には、申請を行い学費負担を減らしましょう。
独学で測量士を目指したい場合
ここまでで見てきた通りに、測量士になるには、測量士補になり就職をするルートが確実です。
測量士も測量士補も独学で受からないものではありませんので、指定のテキストと公開されている解答例を元に勉強すれば、合格を目指せる資格です。
特に、択一式の測量士補については、テキストと過去問によりクリアできるものと言われています。
人気のテキストは以下の通りです。
測量士補の資格は28問中18問以上正解していれば合格できると言われていますので、上記のテキストと過去問で十分に合格を狙えます。
特に、過去問の出題頻度が高いと言われていますので、過去問を繰り返し解くことが合格に繋がってきます。
測量士補の合格率は毎年30%以上
測量士の試験も、測量士補の試験も合格基準点をクリアすれば合格です。
測量士補の場合には、28問中18問以上解答できれば合格できます。
基準点により合格できますので、しっかりと勉強して臨めば受かる試験です。
一方で、測量士の資格の合格率は8~15%程度と低くなっています。測量の勉強をして受けたい方は、国土地理院のホームページなどで公開している解答や問題を参考に、テキストによる学習を進めてみると良いでしょう。
測量士の資格への求人と年収の目安
測量士補の資格の魅力は、全国区で給料の高い仕事を目指せることです。
測量士の給与は経験によって前後しますが、350万~700万円程度までの求人が多くあります。
未経験のうちは給料が低めでも、経験により給与が上がっていきますし、建設系の会社、土木系の会社、施工や管理に関係する会社など多くの会社が常に測量士を求めています。特に、政府の政策で公共事業が広がる場合には仕事も一気に増えます。
少ないながらも、技術や開発関係の仕事に携われる求人もありますし、建築士や施工管理関係の資格を取得してさらなるスキルアップも図れます。
経験を積んで独立開業する人もいますが、独立開業には測量士としての仕事を請け負うために色々な人との繋がり、人間関係も必要となります。
なくてはならない仕事の1つですので、橫の繋がりを広げていくことで仕事が増えます。
独立した際には会社を大きくして、年収1,000万円以上~を目指すこともできます。
ダブルライセンス・トリプルライセンスで就職と独立にさらに強くなる
測量士補と土地家屋調査士の資格の組み合わせについては、一度考えて見ると良いと思います。
CADなど製図のためのソフトを扱い、登記のために法律を覚える必要のある仕事ですが、独立開業に強い資格が土地家屋調査士です。
ただ、測量士の仕事はもっと幅広い分野へのスキルアップが目指せる仕事です。
土木や建築に関わる資格との繋がりは強く、入社した会社によって方向性が変わりますが、建築関係なら建築士の資格、施工関係なら土木施工管理技士、建築施工管理技士、また、CADの資格などを合わせて取得していくことで、会社内での昇進や転職に強くなります。
一般的には、測量士を目指す方は、現場に出て調査を行うことが多く、作業着に身を包んで現場で調査を行い、それを事務所で書面や図面に起こす作業が多くなります。
こうした現場の仕事の場合には、職人気質の強い人の集まりになりますので、人と人との繋がりは大切にしながらも、言うことは言う、という独特の職人文化の中に身を置くことになると思います。
地域によって主となる仕事も異なりますので、資格取得を目指しながらも求人情報などで就職先のイメージを膨らませましょう。