社会保険労務士は人事や労務で活躍する独立可能な独占業務のある資格
国家 | 目安勉強時間 | 1日6時間勉強で | 1日3時間勉強で | 難易度 |
1000時間程度 | 約半年 | 1年程度 | A |
社会保険労務士にしかできない独占業務が職を保障する独立可能な国家資格
社会保険労務士の資格は、人事や総務の仕事に携わる人がスキルアップを図り、独立も目指すことができる資格です。
社会保険労務士が独占することのできる業務は、年金や保険の申請に関わる書類の作成と手続きの代行業務です。
近年ますます複雑になる年金や保険制度に対応しながら、労働に関するトラブルにも対応することになります。
職員の年金の申請や、健康保険の手続き、手当支給のための手続きや、残業問題や雇用主と従業員とのトラブルについてを請け負う人事のエキスパートとして活躍できる社会保険労務士は、企業内での昇進に使える資格でもあり、人事の経験を積むことで、独立することもできる仕事です。
人を雇う場合、それが1人だけでも健康保険や雇用保険、労災への備えといった労務関連の手続きが必要です。中小企業などは、複雑な人事関係の書類の作成や提出を代行でお願いしようと考えるところも多く、独立開業した社会保険労務士は、そうした小規模~中規模の会社の労務を引き受けることが多くなります。
少額の紛争解決業務を請け負うこともある
紛争解決業務を行う場合には特定社会保険労務士の資格を受けて取得する必要があります。
例えば、残業未払いや労災のトラブルなど、雇用主と従業員との間で紛争に発展した場合、訴訟などを行わずに裁判外紛争解決手続を取ることがあります。この場合には、社会保険労務士が間に立って仲裁を行うこともあります。
コンサルティング業務を請け負うこともある
人事や労務の経験の度合いによっては、社会保険労務士であることを生かして企業の顧問としてコンサルティング業務を行うこともできます。
経験が重視される分野ですので、資格を取得する前から人事や労務で経験を積むことで、最大限資格を生かすことができるでしょう。
社会保険労務士の受験資格と日程と費用のまとめ
受験資格要件があります。
主な資格要件
- 大学・短大・高専を卒業したもの
- 大学で62単位以上の単位を取得しているもの
- 厚生労働省の指定資格を有するもの
- 行政書士の資格を有するもの
その他にも実務経験による資格要件もあります
選択式(午前)と択一式(午後)
- 労働基準法及び労働安全衛生法:選択1問:択一10問
- 労働者災害保険法:選択1問:択一10問
- 雇用保険法:選択1問:択一10問
- ①労務管理その他の労働に関する一般常識
- ②社会保険に関する一般常識
- ①②合わせて選択1問:択一10問
- 健康保険法:選択1問:択一10問
- 厚生年金保険法:選択1問:択一10問
- 国民年金法:選択1問:択一10問
社会保険労務士の試験内容についての詳細
試験科目が8科目ある勉強の範囲の広い資格です。労働、雇用、社会保険、雇用保険、年金に関する試験科目はどれも実務と密接に関わる内容となりますので、勉強することで実務に十分に生かせる部分は魅力ですが、範囲が広いため、ある程度の傾向や対策を練る必要はあります。
社会保険労務士に合格するための学校選び
社会保険労務士の資格を受験しようと考える人の多くは、すでに人事や総務に携わっている方や、社内での異動を希望している方が多く、社会人として働きながら資格取得を目指す人が多くなります。
そのため、確保できる勉強時間が限られていることから、学校で学んで合格する人、独学で合格する人のどちらもいる資格試験です。
テキストの評判も良く、通学やWEB通信予備校として人気が高いのは、TAC、資格の大原、LECです。
通信に特化した学校を選ぶ場合には、フォーサイト、クレアール、資格スクエアなどがあります。
大手予備校の場合には、費用が20~25万円程度かかることが多いため、通信学習を選ぶ人も多くなっています。
フォーサイトは5万円程度で受講できます。
大手予備校の講座によっては特定一般給付金の対象講座のことがありますので、受講料が40%手当として返金される可能性があります。
初学者向けの講義の予備校比較
学校名 | フォーサイト | 資格の大原 | TAC |
特徴 | 通信・通学を選択することができます。 予備校としての評判が高い学校です。
| 通学の講座があります。 資格の大原を選ぶ場合には、ハローワークの給付金を使用して申し込むと良いでしょう。
| 通信・通学を選択することができます。 予備校としての評判が高い学校です。
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金額 | 通学・通信:5万円程度![]() | 通学・通信:20万円前後
| 通学・通信:20万円前後 |
通学講座やWEB通信の良いところは、最短合格のためのノウハウがしっかりと掴めるところです。
学生などで大学生協が使える場合には、学費が減額されるシステムがある可能性が高いですので、そうした大学のシステムも活用しましょう。
通信講座ではクレアールも有名です。クレアールでは無料で合格法についての本を進呈しています。
一般教育給付金を利用することで、ハローワークから学習の支援手当を受けられる場合があります。対象の講座に当てはまる場合には、申請を行い学費負担を減らしましょう。
独学での受講者も一定数いる社会保険労務士
社会保険労務士を目指すに当たって、独学を選ぶ人もいます。
この場合、テキストの選び方が重要となりますが、TAC出版からWEB講義と、テキスト学習と模擬試験がパックになっている講座も出ています。5万円程度でテキストに沿った講義が受けられます。
こうしたパックテキストも使わずに完全に独学で社会保険労務士を目指す場合には、テキストの選び方が重要となります。8科目と、科目数が多いので、きちんと科目を網羅しているテキストを探して、選ぶことに手間がかかります。
社会保険労務士のための市販のテキストも多くありますので、実際に手に取って選びながら、過去問は徹底的にやりましょう。
合格率は毎年6~8%程度で推移している
合格率は2~9%程度でばらつきがあります。
平均的には6~7%ですが、科目それぞれに合格基準点があるため、全ての科目において1回の試験で合格点以上を取ることが難しい事もあり、合格率は低くなっています。
合格基準点は試験の後で内容の難易度による補正の上で発表されます。
合格するか不合格になるかは、その年の難易度によることになります。合格基準点に満たない科目があれば不合格になるため、不得意な科目を作らないようにすることが重要です。
事実上の相対評価試験であるため、余裕を持って合格できるように試験勉強に取り組むことが大切です。
社会保険労務士の資格への求人と年収の目安
社会保険労務士を目指す人の中には、全く人事や労務の仕事に就いたことがない人もいると思います。この場合、試験合格後に実務講習を行う必要があり、その費用が8万円程度別途かかってきますが、講習を終えると労務士として登録することができるようになります。
人事や総務の仕事の募集は経験を問われる事もあるため、経験にプラスして資格が評価される傾向が高くなります。一般的な人事や総務関連の年収は企業により幅がありますが、300万円~800万円程度です。
ただ、保険や年金関連の手続きが複雑化していること、小規模事業が増えていることもあり、人事や労務を請け負う独立した社会保険労務士法人の需要が高まれば、就職先が増える可能性もあります。
コンサルティング業界への転職を考える人にとっても、社会保険労務士の資格は役に立ちます。
独立した場合には、個人の人脈や経験、営業・経営のセンスによって年収が左右しますが、年収1,000万円以上を目指せる資格でもあります。
ダブルライセンス・トリプルライセンスで就職と独立にさらに強くなる
中小企業診断士と社会保険労務士の両方の資格を取得して企業の顧問となり、コンサルティング業務に生かせば、独立と年収アップに繋がります。
行政書士の資格を取得していると、企業の立ち上げの際の会社の定款づくりなどの行政業務も行うことができるため、コンサルタントとしてのさらなる強みとして生かすことができます。
独立して働くには個人の能力に依るところが大きくなる資格ですが、人事や総務のエキスパートとして活躍していくには、資格取得により転職などに大いに生かせる資格です。
まだまだ開拓ができる事業分野がある資格でもあるので、今後活用の範囲が広がっていく可能性はあります。