【作業療法士】全国で就職率が高く将来性のある医療系国家資格

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「日常生活の作業」でリハビリを行う作業療法士は医療系国家資格

国家基本学修年数専門学校大学大学受験難易度
3~4年3~4年4年低~高

※大学・大学院は、選ぶ大学によって難易度が大きく異なります。

作業療法士は「楽しい気持ち」をてこにして、できないをできるにする仕事

作業療法士が対象とする「作業」とは、朝起きてから寝る時までの全ての行動に関連しているものを指しています。精神的・肉体的な疾患を抱えるまではなかなか気づくことがない、当たり前になっている日常の作業には、スリッパを履く行為や、水を飲むといった行動も含まれますし、お菓子作りや、庭仕事、人への物の伝え方なども含まれます。

 

そうしたあらゆる作業の中で、対象となる人をより幸福にするような「作業」をできるように助けることが、作業療法士の仕事です。身の回りのことや適度な運動といった「できると良いと一般的に思われていること」を助けるのではなく、「当人がそれを行うことで幸せになること」を助けるのが作業療法士の本来の仕事であり、本人が何をしたいと考えているかを一緒になって探すことも、作業療法士の仕事の一部です。

 

OTと呼ばれることもある作業療法士(Occupational Therapist)は、生活上にかかわるさまざまな作業活動を治療に応用します。そうすることで、今までできなかったことができるようになったり、身体的な病気やけが、精神的な病気によってできなくなってしまったことを楽しんでできるように支援します。

 

例えば、発達障害で水が苦手という子供に水遊びで水に慣れてもらったり、病気で手足が上手く動かなくなっている人にゴルフや料理といったその人の趣味・特技など夢中になれるを通じて、手足が動くようなリハビリメニューを組んだりします。

 

よく比較されることのある理学療法士は、運動・マッサージ・電気刺激などを用いて運動機能の回復など身体機能の改善を図るためのリハビリのプロですが、作業療法士には「これ」といった治療の方法や手順がある訳ではなく、一人一人の状況や性格に合わせて、「作業」を通じてメンタル面の回復から運動機能の回復まで行う専門家です。

 

そのため、手が上手に動かない人が食事をするのを助けるために相手に合わせた「専用の道具」を自作することもある他、場合によっては既製品の義足や義手、福祉用具を活用して「できない作業」を「できる作業」へと変える必要があります。

 

障害のあるなしに関係なく、人が幸せを感じるのは、「自分がしたいことをしたい場所で、したい人とともにできる時」です。したいことが、できる場所と、それを一緒にしてくれる人は誰かといったところまで悩みながら、対象者の生活を助けていくことが、作業療法士に求められている仕事です。

作業療法士になるには指定の大学・専門校を卒業し国家試験の合格が必要

作業療法士のカリキュラムは、最短で3年間を要するとされているため、3年制の専門学校、短期3年制大学、4年制大学のいずれかを選んで学ぶ必要があります。専門的な学習については、専門学校・短大・大学のどれを選んでも変わりはありませんが、4年制大学の場合には、教養課程があること、大卒のため学士の資格を取得できることから、初任給が高めであることが特徴となっています。

 

作業療法士の養成校では、大学・専門学校のどちらであっても厚生労働省が指定規則として定めたカリキュラムを修了する必要があります。勉強する内容には、生理学、疾患学などが含まれているため、動物実験や、学生同士で体を触診するといった授業もあり、動物を解剖すること、人の体に触れたり、触れられることに抵抗がない人でないと続けられない可能性があります。そして、晴れて作業療法士になるには、作業療法士の養成校で指定のカリキュラムを修了し、卒業見込みまたは卒業後に、国家試験を受験し合格する必要があります。

 

作業療法士は、働く場が広がっていること、対象者一人一人に最も適切と思われる作業療法を提供する必要があることから、機械任せにできる仕事ではないこともあり、就職率は100%の仕事であり、将来性もある仕事と言われています。

 

大学や短大卒業後に作業療法士に興味を持った人や、転学したいと考えている人向けに社会人枠や転学者枠を用意している大学や専門学校もあります。興味のある方は、オープンキャンパスに参加してみると良いでしょう。

専門実践教育訓練給付金を利用することで、学費が大幅に安くなる場合があります。対象になる場合には給付金を利用しましょう。

 

作業療法士として働く場合、医療現場では、医師や歯科医師、看護師や理学療法士、言語聴覚士などの医療専門職との連携が必要な仕事であり、福祉の現場ではケアマネージャーや介護福祉士、看護師などの介護の現場で働く人々との連携が必要です。教育現場でも、心理カウンセラーや他の教員との連携が必要であり、基本的には周囲と助け合いながら働く必要がある仕事で、さらに、家族や保護者との関係も大切な仕事です。そのため、チームとして働く事や、周囲のケアを考えることができ、人に対して尽くしたい気持ちがあり、相手の立場で気持ちを考えられる人が求められます。

 

医療系の大学・専門学校一覧にて、全国の作業療法士の資格取得が目指せる大学・専門学校の一覧と学校の特徴を確認することができます。

作業療法士の国家試験の試験内容の詳細とまとめ

受験資格

大学・専門学校において指定のカリキュラムを修了しているか、同等以上の技能と知識があると認定された者

試験の方法

五肢択一
五肢択二

筆記試験出題範囲

一般問題試験:一般問題:解剖学、生理学、運動学、病理学概論、臨床心理学、リハビリテーション医学(リハビリテーション概論を含む)、臨床医学大要(人間発達学を含む)および作業療法

実地問題:運動学、臨床心理学、リハビリテーション医学、臨床医学大要(人間発達学を含む。)および作業療法

口述試験及び実技試験(対象者のみ)

重度視力障害者に対しては、筆記試験の実地問題に代えて次の科目について別途試験が行われます。運動学、臨床心理学、リハビリテーション医学、臨床医学大要(人間発達学を含む。)及び作業療法

資格試験の日程

年一回:2月下旬頃

午前:100問:2時間40分

午後:100問:2時間40分

合格発表:3月末頃ネット上で確認可能

金額

受験手数料:10,100円

申込期間

【申し込み方法】

申込書類を請求→郵送提出

【受付】12月中旬頃~1月中旬頃

試験会場

北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、香川県、福岡県、沖縄県

口述試験・実技試験は東京都のみ

登録免許税・登録料

試験合格後には、登録免許税(9,000円)が必要です。

作業療法士会の会員になった場合には会費がかかります。一般社団法人 日本作業療法士協会

受験案内・問い合わせ先

厚生労働省

作業療法士の合格率は70~90%程度で推移している

作業療法士の合格率は70%~90%の範囲内で推移しています。年によってバラつきがありますが、養成校では、国家試験の対策も行う他、同じ目標を持った仲間と一緒に勉強を続けることができるので、モチベーションの維持がしやすいこともあり、作業療法士の合格率は、新卒者の場合には合格率が低い年でも80%以上、おおむね90%以上となっています。

新卒のタイミングで合格できるよう大学や専門学校でしっかりと勉強しておくことが合格の近道です。

合格基準は不適切問題が含まれることがあるため、毎年固定ではありませんが、おおむね総得点の60%以上であること、実地問題の得点が35%以上であることが合格基準となっています。

作業療法士として就職した場合の年収や待遇

作業療法士として働く場合には、全国の医療系、福祉系、介護系、保険系、職業関連、教育関連の就職先に需要があることから、全国で幅広く就職活動をすることができます。作業療法士の資格取得者は100%就職先があると言われており、分野や地域に強くこだわりがない場合には、就職先に困ることはほとんどないと言えるでしょう。

 

大学病院や総合病院のリハビリセンター、クリニック、障害者施設や児童福祉施設、老人保健施設やデイケアセンター、地域包括センター、保健センターといった医療・福祉・介護施設の他に、就労支援事業施設やハローワーク、特別支援学校などの求人もあります。

 

資格取得後、実務未経験のうちは年収は250万円程度~ですが、その後は勤続年数等に応じて300万円~600万円程度の年収となる人が多く、就職先や経験年数等によって年収は変化します。短時間のみ時給で働く場合には、時給2,000程度~募集があり、働き方を選べるところも魅力の資格です。

 

できなかったことができるようになる、やりたかったことを、少し形を変えてでも実現できるようにする。そんな作業療法士の仕事は、創意工夫の連続であり、想像力の豊かさも求められる仕事です。

 

また、作業療法士という資格を知らない患者さんや対象者も多い中で、「これができるようになりたい」という思いを上手に引き出し、その手助けをする医療従事者がいるということを知ってもらうことも、未来の作業療法士に求められています。

 

より深く、働いている人の様子も知って資格を検討したいという方は、以下の本もおすすめです。

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