臨床検査技師は検査機関や病院で検体検査を主に行う専門職用の資格
国家 | 基本学修年数 | 専門学校 | 大学 | 大学受験難易度 |
3~4年 | 3~4年 | 4年 | 低~高 |
※大学・大学院は、選ぶ大学によって難易度が大きく異なります。
臨床検査技師は患者さんの血や尿、超音波、心電図の検査を専門に行う仕事
病院やクリニックで診療を受ける際には、必要に応じてX線検査や尿・血液の検査、心電図や超音波検査などの検査が必要になる場合があります。
こうした検査のうち、血液と尿の検査、および心電図や超音波の検査は「臨床検査」と呼ばれ、検査は臨床検査技師によって行われます。
臨床とは、臨(そばに行く)+床(ベッド)を意味していて、患者さんのそばで医療に関係のある行為をすることを指します。臨床〇〇という場合、〇〇に当てはまる部分の行為が法律によって許可されている人々を意味しています。
臨床検査技師・診療放射線技師・臨床工学技士の業務の違い臨床検査技師・・・尿・血液の検査、心電図、超音波検査を主に行う
診療放射線技師・・・X線や高エネルギー放射線を使用した検査や治療を主に行う
臨床工学技士・・・人工呼吸器、人工心肺装置、血液透析装置の使用・保守・点検等を主に行う
病気の診断や治療を行う上では検査が欠かせませんが、臨床検査技士は、様々な機器を用いて病気の発見に務める他、健康な人の血液や尿の検査を行うことで病気の予防をする役目も担っています。
臨床検査技士は、主に2つの検査を行いますが、1つ目は、血液や尿、細胞などの「検体」を検査する検体検査です。もう一つは、患者さんに触れることで行う「生理機能検査」であり、生体検査と呼ばれます。これには、心電図検査、超音波検査、脳波検査、眼底写真検査、呼吸機能検査、MRI検査、サーモグラフィーなどがあり、それぞれに専用の器具を用いて行います。
検体検査には、尿や血液について調べて臓器の異常を発見する他、寄生虫がいないかを検査する一般検査、病気になっている部分から採取した検体から病原菌に感染していないかを調べる微生物学的検査、血液から血球などの成分を取り除いた血清を検査してウイルスやアレルギーの検査を行う免疫血清学的検査、赤血球や白血球の度合いを検査して貧血や炎症の程度を調べる血液学検査、悪性細胞などを発見するための病理学的検査、血液をより詳細に調べて臓器の異常を確認する生化学的検査、遺伝子の異常を確認する遺伝子検査、輸血・臓器移植関連検査など、多数の検査があります。
このように、臨床検査の種類は多数ありますが、どのような検査を主に仕事として行うかは、就職先によって変わってきます。人によっては、1つの検査を専門に極めていく人もいますし、検診センターなどでほとんど全ての検査を担当する場合もあります。
病院・クリニックで働く臨床検査技師が多いが、検査専門の機関に勤める道もある
臨床検査技師の場合、病院やクリニックで働く臨床検査技師が最も多く、この場合には生理機能検査を行うことが多いですが、他にも検査を専門に行う検査センターに就職する道や、健康診断を行う検診センターに勤める道、医薬品や試薬をつくる製薬会社、医療機器メーカーに勤める選択肢もあります。
臨床検査技師は、検査に使用する機会のメンテナンスを行う仕事もあるため、複雑化していく検査機器に対する理解や、メンテナンスの力も求められています。現在では、不妊治療に関わる臨床検査技師や、動物の検査を行う臨床検査技士などもいるため、専門分野に特化して働くこともできます。
臨床検査技師になるには指定の大学・専門校を卒業し国家試験の合格が必要
臨床検査技師のカリキュラムは、最短で3年間を要するとされているため、3年制の専門学校、短期3年制大学、4年制大学のいずれかを選んで学ぶ必要があります。専門的な学習については、専門学校・短大・大学のどれを選んでも変わりはありませんが、4年制大学の場合には、教養課程があること、大卒のため学士の資格を取得できることから、初任給が高めであることが特徴となっています。
また、検査センターや民間の製薬会社、医療機器メーカーに勤める場合には、大学だけでなく大学院で専門の研究を行ってから就職する道を選ぶ人も多く、研究職に就きたい場合や、働きながら博士課程まで目指したい場合には、4年制大学を出て、大学院を経てから就職し、学業支援を行っている企業に勤めることを考えると良いでしょう。
臨床検査技師になるには、養成校で指定のカリキュラムを修了した後で、卒業見込みまたは卒業後に国家試験を受験し合格する必要があります。
大学や短大卒業後に臨床検査技師に興味を持ち、1から医療分野について学んで臨床検査技師になる人もいます。興味のある方は、資料請求を行う他、オープンキャンパスに参加してみると良いでしょう。
専門実践教育訓練給付金を利用することで、学費が大幅に安くなる場合があります。対象になる場合には給付金を利用しましょう。
臨床検査技師として働く場合には、医療現場では、医師や歯科医師、看護師、助産師、保健師や作業療法士、理学療法士、言語聴覚士などの医療専門職との連携が必要な仕事であり、検査の現場ではケアマネージャーや介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士などとも関わりがある場合もあります。
臨床検査技師が検査を行う対象者は、赤ちゃんから老人まで年齢の幅が広く、それぞれに指示に対する理解度が異なる他、病気で不安になっているなど心理状態も様々な人を相手にする必要があることから、ただ検査を行うだけではなく、検査によって患者さんに負担をかけないことを心がける必要があります。そのため、人の気持を理解しようと相手に寄り添う気持ちがあることも、臨床検査技士の資質として必要になります。
臨床検査技師は、検査によって患者さんの病気をいち早く、確実に発見する必要があることから、集中力と、新しい技術や知識を常に探求し続ける好奇心と情熱が必要な資格でもあります。
医療系の大学・専門学校一覧にて、全国の臨床検査技師の資格取得が目指せる大学・専門学校の一覧と学校の特徴を確認することができます。
臨床検査技師の国家試験の試験内容の詳細とまとめ
臨床検査技師の合格率は70~82%程度で推移している
臨床検査技師の合格率は70%~82%程度の範囲内で推移しています。年によってバラつきがありますが、養成校では国家試験の対策も行う他、同じ目標を持った仲間と一緒に勉強を続けることができるので、モチベーションの維持がしやすいこともあり、臨床検査技師の合格率は新卒者の場合には合格率が低い年でも83%以上、高い時には93%程度となっています。
そのため、新卒のタイミングで合格できるよう大学や専門学校でしっかりと勉強しておくことが合格の近道です。
合格基準は200点満点中60%の120点以上とされています。
臨床検査技師として就職した場合の年収や待遇とキャリアアップへの道
臨床検査技師として働く場には、病院・クリニックの他、検査センター、保健所、検診センター、人間ドッグ、大学研究所、民間研究施設、製薬会社、医療機器メーカーなどがあります。
臨床検査技師の年収は、430万円程度が平均とされています。ただし、全国規模で就職先があることから地域差による年収の差が大きいため、平均年収に届かない地域もあります。また、研究職や民間の企業に就職することで高い年収を得ることができる場合もある他、専門分野を持つことで講師としても活躍するなど、働き方によってはより高い年収を得ている人もいます。年収の幅としては、300万円~650万円の間に収まるケースが多いでしょう。
人によっては、管理職になるなどして年収1000万円を超えるケースもあります。ただし、技術力を高めたり、経営の手腕を身につけるためには、就職してからも勉強を続けて臨床検査に関わる認定資格を取得していく他、ビジネスや経営について学ぶ努力が必要です。
臨床検査技士は、新たに生まれ続ける新しい技術にも付いていく必要があるため、就職してからも学ぶことが多い資格です。ただし、一度資格を取得すると就職に強い資格であり、パートとしても働くことができる資格でもあります。
より深く、働いている人の様子も知って資格を検討したいという方は、以下の本もおすすめです。