就職に有利な心理カウンセラーのための国家資格【公認心理師】

公認心理師 資格 取得資格
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心理系初の国家資格「公認心理師」でカウンセラーとして就職を目指す

国家基本学修年数通信制大学通信制大学院大学受験難易度
6年低~高

※大学・大学院は、選ぶ大学によって難易度が大きく異なります。

国家資格である公認心理師と民間資格である臨床心理士の違いと将来性

公認心理師は、2017年に資格制度が開始されたばかりの心理系初の国家資格です。これまでは、国家資格が存在しなかったため、権威ある心理系資格としては民間資格である臨床心理士の資格取得を目指すのが一般的でした。現在のスクールカウンセラーや、医療機関において保険診療でカウンセリングを行っているカウンセラーのほとんどが臨床心理士の資格を有しています。

 

臨床心理士は、臨床という名のとおり、心理学的手法である心理査定技法や面接査定を用いて心理的な業務を行うことを目的とした人材を育てる分野であり、臨床心理学という分野を中心にして学修が進められることになります。今後は、心理師より上位の資格として、より研究的な仕事をしたい人が取得する資格となっていくでしょう。

 

しかし、新設されて間もない公認心理師は、臨床心理学に限らず、幅広い心理学の分野の学問を修得し、より広く心理学の分野に携わる人間を育てることを目的としています。スクールカウンセラーや、医療機関のカウンセラーの多くは、臨床心理学のみではなく、幅広い心理学の知識で対応する方が良いという面もあり、今後これらの職業を目指したいと考える人は、公認心理師の資格を目指すと良いでしょう。

 

公認心理師の資格は、名称独占資格です。公認心理師でなければできない仕事というのはありませんが、資格の無い人が公認心理師を名乗ることはできません。心理「士」の文字を使う民間資格が多いことから、法律で定められることになる国家資格の名称によってこれまで心理士を名乗っていた人が名前を使えなくなる可能性があったため、心理「師」として国家資格が定められました。

 

現在は、臨床心理士については経過措置として公認心理師への認定が行われるようになっています。既に臨床心理士として公認心理師に必要な学修を終え、働いている人は指定の講座を受講することで公認心理師になることができます。他にも、臨床心理士でなくても、心理系の業務に5年以上従事しており、相応と認められる場合には、公認心理師になれます。

 

以上のことから、現時点では公認心理師と臨床心理士に大きく違いはありませんが、今後は現場でのカウンセリング業務中心となるのは公認心理師であり、臨床心理学の分野をより深く学び、実習や実験、研究を通じて心理学の分野に貢献する人材を目指す場合には臨床心理士となっていくでしょう。

企業・病院・学校で活躍できる公認心理師・臨床心理士は信用度の高い資格

心理カウンセラーになるのに資格は必須ではありません。心を楽にすることが得意な有名なカウンセラーの多くの人の中には、心理学の勉強をしたことがない人もいますし、心理カウンセリングに関する簡単な民間資格を取得しているだけの人もいます。

 

資格とカウンセリングの能力が必ずしも結びつく訳ではありませんが、哲学や古い思想を源流に持ち、その後心理学という学問分野として発展した心理学を修めているものにしかできない、心理学的手法を用いたカウンセリングが存在するのも事実です。学問としてしっかりと勉強した人や、臨床実験などを行った人でなければ分からない倫理的に問題のある行為などの境界線もあり、「思い込み」でカウンセリングを行わず、多面的な見方ができる人材を育て、その技能と知識の証明するには資格が適切な方法です。

 

そのため、信頼性の高い臨床心理士や公認心理師を取得している人の場合には、公的な施設で働ける可能性が高くなります。病院が学校などの他、企業カウンセラー、福祉施設のカウンセラー、刑務所や矯正施設のカウンセラーなどを目指すことができます。

公認心理師になるには基本的には大学院まで学修が必要

公認心理師も、臨床心理士も、どちらも資格試験の受験要件として指定のカリキュラムを修了していることを定めており、基本的には大学院までの学修が必要です。特例的に、大学を卒業後に定められた期間業務に従事しているものに付与という場合もありますが、大学・大学院を経てカウンセラーとして医療法人や国の機関、または企業内の常駐のカウンセラーとして就職をしたいと考える場合には、大学院まで出て資格試験に合格するのが近道となります。

 

公認心理師になるには、公認心理師になるための指定のカリキュラムが組まれている大学と、同じく指定のカリキュラムのある大学院を卒業する必要があります。これは、必ずしも臨床心理士の資格を取得するためのカリキュラムとは一致していないため、注意が必要です。

公認心理師になるには大学・大学院に進学するか認定施設で実習を行う

公認心理師のカリキュラムのある大学

 

公認心理師になるためには、通常は、指定のカリキュラムのある大学に行き、その後は指定のカリキュラムのある大学院を出て、公認心理師の資格試験を受験することになります。既に大学や大学院を出ている人の場合でも、指定カリキュラムを修了していない場合には、大学3年からの編入システムなどを利用して、指定科目の修了が必要となります。

 

公認心理師のカリキュラムのある大学を出た後で、公認心理師法第7条第2号に定められた施設での実習経験を2年積むことで公認心理師の資格試験を受験する資格を得る方法もありますが、認定施設の数は少なく、場所も限られているため、誰でも利用できる経路ではありません。少しずつ数は増えていくと考えられますが、まだ対象施設は8カ所のみです。厚生労働省のHPで確認できます

 

そのため、公認心理師のカリキュラムのある大学・大学院を選ぶのがベストな道と言えるでしょう。

 

2017年時点における公認心理師のカリキュラムに対応している大学・大学院の一覧はこちらです。公認心理師の資格認知度が高くなっているため、カリキュラムに対応する心理系の学部や大学院は増えて行くでしょう。受験したい大学や学部が決まっている場合には、公認心理師のカリキュラムに対応しているか個別に確認してみて下さい。

 

大学・大学院ともに、通信制を利用してカリキュラムを修了することもできます。社会人として働きながら心理師を目指したい人は、通信制を利用することを考えてみても良いでしょう。放送大学や、私立大学において通信制による学修が可能です。ただし、特に大学院については実習等で学校へ通う期間も多くなるため、その点は考慮して学校選びを行う必要があります。

公認心理師資格の試験内容の詳細とまとめ

受験資格

第一種、または専門職大学院で指定カリキュラムの単位を修了している方

第二種の大学院で指定カリキュラムを修了後、1年以上の有給実務経験がある方

試験の方法

午前:120分

午後:120分

※視覚障害や聴覚障害等があり、受験に配慮が必要な方には、受験時間等の配慮があります。

全問マークシート方式で150~200問程度

出題範囲:こちらを参照下さい

資格試験の日程

2021年9月

2022年7月

2023年5月

2024年以降:3月実施予定

※コロナの影響で試験日程が変動しています

合格発表:試験後2カ月程度で郵送にて連絡

金額

受験手数料:28,700円

申込期間

【申し込み方法】

申込書類を請求→郵送提出

【受付】指定の1カ月程度の期間

試験会場

北海道,宮城県,東京都,愛知県,大阪府,岡山県,福岡県

登録免許税・登録料

公認心理師の試験合格後は、登録免許税(15,000円)、登録手数料(7,200円)が必要です。

受験案内・問い合わせ先

一般財団法人 日本心理研修センター

公認心理師資格のための予備校選びと資格試験の合否について

公認心理師の資格は、2017年に開始されてまだ間もないため、資格取得の一般的な道筋とされる大学→大学院のルートを経た受験者はまだいません。そのため、既に臨床心理士の資格を取得している方や実務経験のある方といった別ルートでの取得がメインとなっています。

 

また、試験回数がまだ少なく、合格率や合格基準は不安定です。試験の6割以上に正答することで合格とされていますが、明確な基準はありません。

 

今後、試験の回数が積み重なり、正規のルートである指定カリキュラムを受講した大学→大学院を経た学生の受験者が増えると、合格率が一定程度に落ち着く時がくるでしょう。試験対策についても、対策本や予備校を含めて、これから充実していくと考えられます。

 

大学院において資格取得のための受験講座がある場合もありますが、より効率的に資格取得だけを目的とした勉強をする場合には、大学院に通う間に資格予備校に通うことをおすすめします。

資格予備校のLECや、Z会グループが運営するファイブアカデミーなどにおいて、資格試験のための集中講座を受けることができます。

公認心理師取得を生かして就職した場合の年収や待遇

公認心理師の認知度が向上すると、国家資格としての強みもあり、就職に有利に働くことは間違いありません。

 

学校法人、医療法人においての求人が多いカウンセラーの仕事は、年収250円~350万円程度が一般的です。給与はそれほど高くはありませんが、福利厚生がしっかりしていて、長く勤められる法人を選ぶことができます。利益を出す仕事ではないため、必要とされながらも高い給与は見込めません。また、求人には福祉関係の施設や児童養護施設、矯正施設(刑務所や裁判所、保護観察所)などもあります。

 

ただし、企業が募集するカウンセラーとして就職する場合には、年収は400~500万円程度まで伸ばすことができます。コンサルタント業務を兼ねて心理士資格を活用する場合には、さらに高い年収を目指すこともできます。

 

個人で起業して活躍する場合には、年収1000万円を超えている人もいますし、心理資格を生かしてテレビや雑誌などのメディアで活躍する道もあります。個人で活躍したい場合には、広告宣伝をどう行うかや、業務拡大のためのノウハウなど、経営に関する知識も必要となります。

 

心理学の勉強を行い、資格を取得する点は同じでも、「どういった理由で」「どんな」心理師を目指すかは人によって全く異なります。

 

心理師としての力を使い、利益を出す仕事をしたいと考える人も、利益は顧みずに心理師として人の話を聞くことを中心に仕事をしたい人も、仕事に向き合う姿勢は様々です。ただ、国家資格レベルを目指す人の多くは、カウンセラーとして仕事をしたい、人を助けたいという思いで公認心理師を目指す人が多い傾向にはあります。

公認心理師として行う仕事内容(心理査定、心理療法)

公認心理師、または臨床心理士の資格を利用して就職し、カウンセリングの業務を行う場合、クライアントや患者さんに対し、心理査定(アセスメント)によるクライアントの状態の確認が必要となります。

 

インクの染みに対してどう反応したかで性格を判断するロールシャッハテストや、一本の木を描いてもらうことで性格を判断するバウムテスト、質問による性格判断をするYG性格検査やMMPIなどの他、色々な検査手法を用いてクライアントの状態を判断します。

 

その後、心理療法として、精神分析や、行動療法、認知療法などを試みることになりますが、心理療法には様々な種類があり、クライアントに合わせて、または自分自身の技能に合わせて選ぶことになります。

 

フロイトからはじまる精神分析や、ユングの分析心理学の利用、行動を修正して治療を試みる行動療法、認知的な歪みを修整しようと考える認知療法、クライアントの話を聞くことを中心にした来談者中心療法や、家族との関係から改善を図る家族療法の他、問題を無くすのではなく問題を解決する手段や問題のない例外を見つけ出すブリーフセラピーや、クライアントを縛っている現状の考え方そのものを見方を変えて解決するナラティブセラピーなど、多様な手法があります。

 

企業などでも取り入れられているNLP(神経言語プログラミング)や、催眠療法、芸術療法など、専門に特化したセラピーの方法を選ぶ人もいます。また、新しい心理療法の領域としては、瞑想などを取り入れたマインドフルネスストレス低減法や、新しい認知療法などを利用する人もいます。

 

大学・大学院を通じて行う学びや実習の中で、どんな手法を用いてクライアントと向き合っていくかを決める事は、その後の就職先や、続けていく勉強の方向性を定めるためにも大切です。

 

現代人のほとんどが何らかの心の悩みや、トラブルを抱えているため、カウンセラーに対する需要は今後も伸びていくことが考えられます。通信制の大学や大学院を利用できることから、社会人になってからも目指しやすい資格であるため、興味のある人は資料を取り寄せるところから初めてみると良いでしょう。

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