日本語教育能力検定試験は需要の多い日本語教師になるための資格
民間 | 目安勉強時間 | 1日1時間勉強した場合 | 1日3時間勉強した場合 | 難易度 |
300時間 | 300日 | 100日 | B |
人手不足もあり需要の高い資格で、海外に移住している人も使える資格
日本語教師の求人応募の条件のほとんどで、以下の3つのどれかに当てはまる必要があるとされています。
求人応募のための条件
- 日本語教育能力検定試験を取得している
- 日本語教師養成420時間総合講座コースを修了している(+学士の学位を取得している)
- 日本の大学で日本語教育に関する過程を主専攻または副専攻して修了している
現行では、学士を取得していない人でも、日本語教育能力検定試験に合格し、日本語教師として活躍することが可能です。ただし、国家資格として、公認日本語教師の資格が成立する事が決定していますので、公認日本語教師の資格が日本語教師の求人の必須資格となった場合には、学士+国家資格が日本語教師になる条件となってくるでしょう。
日本語教師としての活躍の場は、日本に留まりません。学士の資格に合わせて、上記のような日本語教師としての資格を取得している場合には、海外でビジネスビザを取得して、日本語教師として生活することができます。
現在では、日本語の授業ができる講師への需要は高く、海外での就職を視野にいれている方にとっては、学士+日本語教育能力検定試験や、学士+養成講座などを利用して、教師として海外移住をする道を選べば、国外での活躍の場を広げることができます。
日本語教師として以外に、数学やパソコンや経済学などの得意な科目があると、教師として受け持つことのできる科目の幅が広がります。得に、合わせて英語ができることは、国外での活躍や海外留学生と関わる仕事に就く場合には大いに役立つでしょう。
日本語教師の資格の生かし方としては、海外の日本語学校で教える、海外の現地の学校で日本語教師になる、日本国内で留学生に日本語や、その他の科目を教えることなどが選べます。
学士取得は放送大学等を利用することで通信講座でも行うことができます。現状では学士がなくても、日本語教育能力検定試験に合格することで日本語教師になれますが、将来的に日本語教師になりたいと考えている人は、学士取得も合わせて目指す必要があります。
就職先の紹介や、教師になるための指導を行う420時間の養成講座を受けると、教師としての仕事の心構えやノウハウも教えてもらえるため、100%日本語教師になりたいという確信のある人は、業界の事情を教えてもらうという意味でも養成講座を受講することを検討してみるのも良いでしょう。
養成講座は、ハローワークの給付金対象となっている場合があります。この場合、学費を全額払う必要はありません。自分が支払える金額や、就職したいと考えている度合いなどを比較検討した上で、日本語教育能力検定試験を受験するか、50万円程度の費用のかかる日本語教師の養成講座を受講するか、もうすぐ国家試験として新設される予定の公認日本語教師の資格を取得するかを検討しましょう。
人に教える仕事、国際的な仕事に興味がある人は、日本語教師に向いていると思われます。
日本語教育能力検定試験の受験資格と日程と費用のまとめ
日本語教育能力検定試験の試験内容の詳細
1.世界と日本 | |
(1)諸外国・地域と日本 (2)日本の社会と文化 | |
2.異文化接触 | |
(1)異文化適応・調整 (2)人口の移動(移民・難民政策を含む。) (3)児童生徒の文化間移動 | |
3.日本語教育の歴史と現状 | |
(1)日本語教育史 (2)日本語教育と国語教育 (3)言語政策 (4)日本語の教育哲学 (5)日本語及び日本語教育に関する試験 (6)日本語教育事情:世界の各地域,日本の各地域 | |
4.日本語教員の資質・能力 |
1.言語と社会の関係 | |
(1)社会文化能力 (2)言語接触・言語管理 (3)言語政策 (4)各国の教育制度・教育事情 (5)社会言語学・言語社会学 | |
2.言語使用と社会 | |
(1)言語変種 (2)待遇・敬意表現 (3)言語・非言語行動 (4)コミュニケーション学 | |
3.異文化コミュニケーションと社会 | |
(1)言語・文化相対主義 (2)二言語併用主義(バイリンガリズム(政策)) (3)多文化・多言語主義 (4)アイデンティティ(自己確認,帰属意識) |
1.言語理解の過程 | |
(1)予測・推測能力 (2)談話理解 (3)記憶・視点 (4)心理言語学・認知言語学 | |
2.言語習得・発達 | |
(1)習得過程(第一言語・第二言語) (2)中間言語 (3)二言語併用主義(バイリンガリズム) (4)ストラテジー(学習方略) (5)学習者タイプ | |
3.異文化理解と心理 | |
(1)社会的技能・技術(スキル) (2)異文化受容・適応 (3)日本語教育・学習の情意的側面 (4)日本語教育と障害者教育 |
言語と教育
1.言語教育法・実技(実習) | |
(1)実践的知識・能力 (2)コースデザイン(教育課程編成),カリキュラム編成 (3)教授法 (4)評価法 (5)教育実技(実習) (6)自己点検・授業分析能力 (7)誤用分析 (8)教材分析・開発 (9)教室・言語環境の設定 (10)目的・対象別日本語教育法 | |
2.異文化間教育・コミュニケーション教育 | |
(1)異文化間教育・多文化教育 (2)国際・比較教育 (3)国際理解教育 (4)コミュニケーション教育 (5)異文化受容訓練 (6)言語間対照 (7)学習者の権利 | |
3.言語教育と情報 | |
(1)データ処理 (2)メディア/情報技術活用能力(リテラシー) (3)学習支援・促進者(ファシリテータ)の養成 (4)教材開発・選択 (5)知的所有権問題 (6)教育工学 |
言語一般
1.言語の構造一般 | |
(1)言語の類型 (2)世界の諸言語 (3)一般言語学・日本語学・対照言語学 (4)理論言語学・応用言語学 | |
2.日本語の構造 | |
(1)日本語の構造 (2)音声・音韻体系 (3)形態・語彙体系 (4)文法体系 (5)意味体系 (6)語用論的規範 (7)文字と表記 (8)日本語史 | |
3.コミュニケーション能力 | |
(1)受容・理解能力 (2)言語運用能力 (3)社会文化能力 (4)対人関係能力 (5)異文化調整能力 |
日本語教育能力検定試験に合格するためのテキスト・講座選び
日本語教育能力検定試験には、独学で合格している人もいます。300時間程度が勉強時間の目安です。
参考書と過去問を利用して、きちんと勉強をすることで十分独学で合格可能な試験と言われています。今後、国家試験が出てくることで、資格試験の立ち位置や、難易度、出題傾向が変わる可能性があります。
日本語教師養成講座を受講して日本語教師を目指す場合
試験は受けずに、養成講座を受講することで日本語教師を目指したい場合には、420時間の指定講座を行っている予備校に通う、または通信講座を受講することで日本語教師を目指せます。
この場合、学士を取得していることが前提となりますが、学士の取得がまだの場合でも、講座を受講することはできます。
生涯学習のユーキャンや資格の大原、ヒューマンアカデミーといった大手予備校・通信教育の他、英語学習で有名なアルクや、アークアカデミー、放送大学と連携カリキュラムを持っているインターカルトなど、たくさんの養成講座があり、おおむね50万円前後で受講することができます。
ユーキャンは、テキスト講座を主としているため、6万円程度で講座を受講することができます。
資格試験が苦手という方や、座学でしっかりと勉強をして、就職案内や教師としての実践教育を受けたい場合には、通学型の養成講座の見学に行ってみましょう。
養成講座の場合、学校によって就職案内に強い・弱いなどもあります。試験を受講する必要はないので、養成講座そのものの良さや、就職への熱の入れ方などをチェックして入校しましょう。
合格率は23%~28%程度で推移している
日本語教育能力検定試験の合格率は、23%~28%程度で推移しています。合格基準点は年によって異なります。その年の難易度に合わせて前後しますので、過去問で点数を目安にする場合には、その年の合格最低ラインに合わせて自分の勉強の進捗度をチェックしましょう。
国家資格が正式に日本語教師の資格として浸透すると、日本語教育能力検定試験の立ち位置が変わってくる可能性があります。学士などの取得をせずに、早く教師になりたい人は、次の試験がラストチャンスになる可能性もあります。
日本語教育能力検定試験に対する求人の年収・時給の目安
日本語教師の求人は、一般の求人サイトではなく、日本語教師の求人に特化したサイトや、学校経由の求人を確認すると良いでしょう。
日本語教師の集い、日本村、日本語教師ジョブなどが有名ですが、その他にも日本語教師の求人サイトがありますし、海外の求人サイトで現地の求人をチェックすることもできます。
国によって、通貨基準が違うため、新興国では日本円に換算した給料は低くなります。
年収は100万円~400万円程度までが多くなります。
時給で働く場合には、時給1,800円(45分)が多くなります。(東京の日本語学校の場合)
英語ができる、日本語以外の教科を教えることができるといった場合には、付加価値が高くなり、さらに高い時給や年収で働ける場合もありますが、給料を高めることを目的とした場合には、日本語教師は向いていないかも知れません。
教師の仕事は、利益を上げることより、生徒の将来のために尽くす仕事になるため、やりがいや、海外で働きたいという給料とは別の目的のために目指すと良いでしょう。
海外在住で就職先を探している人が、日本語教師の養成講座の受講や日本語教育能力検定試験を生かして、日本語のチューターを行う、オンライン講師になるといった選択もできます。
海外で生かせる資格として有効なのも、日本語教育能力検定試験の魅力です。