ネットワークスペシャリストは就職・転職に強い上位国家試験
国家 | 目安勉強時間 | 1日2時間勉強した場合 | 1日3時間勉強した場合 | 難易度 |
600時間 | 10ヶ月程度 | 200日 | A- |
※学習時間は基本情報技術者試験の勉強からスタートした場合の目安です。
インフラエンジニアになるならネットワークスペシャリスト試験
応用情報技術者試験を受験してから受ける人の多い上位資格9つのうち、次のステップとして資格試験を受けようとする人の多くは、システムアーキテクト試験、ネットワークスペシャリスト試験、データベーススペシャリスト試験のいずれかを選択します。
ITインフラ系のエンジニアであるネットワークエンジニアとサーバエンジニアは、その仕事の重要性からも給与水準が高く、常に求人募集のある仕事です。インフラエンジニアと総称されることもあるネットワーク・サーバエンジニアは、社内のネットワークの構築や、安全にインターネットに接続できる環境を構築するのが仕事です。
水道・電気・ガスや道路といったインフラと同じで、インターネット上では、安全にデータを保管し、取り出しを行うためのサーバーの構築・保守や、社内にあるパソコン同士を繋いでデータを共有するためのLANネットワークの構築・保守、プロバイダを通じて接続するインターネット上でのデータ漏洩などに備えたセキュリティシステムの構築が必要です。
社内のネットワークを繋ぐLAN(Local Area Network)、本社や支社などのデータを共有したい範囲を繋ぐWAN(Wide Area Network)、外部に回線のやり取りがもれないように専用回線を設けるためのVPN(Virtual Private Network)に加えて、セキュリティやサーバーに関する知識をもって社内ネットワークを構築する事が、インフラエンジニアの仕事です。
金融機関や国の機関などのようにデータ管理に厳しい組織の場合には、社内にサーバールームを設けるなどしてデータ管理を行いますが、最近ではクラウドサービスを導入し、アマゾンやマイクロソフトが提供するクラウドサービス上にサーバーを持つ企業が増えています。
クラウド上に保管されるデータ、またはサーバーのデータが問題なく引き出せるようにルーターとの接続や設定を確認する仕事や、クラウドサービスへの理解、そして社内のLANや支所間WANネットワーク構築ができる技術と知識が、ネットワークエンジニアに求められる要素です。
また、社外に情報が漏れないようにする必要があるため、ネットワークエンジニアは、セキュリティに対する知識も一定以上のものが求められます。ネットワークスペシャリスト試験の次ぎは、情報処理安全確保支援士を受験するつもりで勉強すると良いでしょう。
ネットワークスペシャリスト試験には、記述式はありますが、論文形式はありません。ただ、午後試験の方が難易度の高い試験になるため、午後試験から先に勉強を始めると良いでしょう。
インフラエンジニアには、サーバーや社内インフラの構築・保守・点検を行う企業や、社内システムが重要な企業の部署、フリーランスの派遣社員といった働き方があります。最新のネットワークの構築ができる知識ある人材が不足していることから、求人の多い仕事です。
ネットワークエンジニアとしての仕事を経験している人、今後はネットワークエンジニアとして活躍したいと思っている人、ネットワークについて理解しておきたい人は、ネットワークスペシャリスト試験を取得し、その後は情報処理安全確保支援士試験を目指すと良いでしょう。
ベンダー系資格取得を目指すならシスコ技術者認定試験
企業のサーバールームなどで使用される製品は、ほぼシスコの製品となっています。そのため、企業が求めるネットワークの知識には、シスコ製品を使用してルーターに配線を繋ぐ技術等が含まれています。シスコ技術者認定試験は広く知られた試験であり、入門試験に当たるCCNA、およびプロフェッショナル資格であるCCNPを取得している人材への求人は多くあります。
シスコ技術者認定試験では、2020年より新たに試験制度として、アソシエイト(CCNA)→スペシャリスト(Specialist)→プロフェッショナル(CCNP)→エキスパート(CCIE)試験を整理しました。
CCNAは一つの試験で取得できるようになり、CCNPでは、エンタープライズ試験のうち各分野の専門技術に関する試験を1つ、コア試験を1つ、合わせて2つの試験に合格することで資格認定される仕組みとなっています。
ベンダー試験は、定期的な更新が必要な資格試験ですが、最終的にはエキスパートを目指して少しずつ試験を受けていくことで、新しい技術を定期的に学び続けることができます。最近では、物理的なシスコ製品を使わず、クラウドを利用する企業が増え、サーバールームを持たない企業も増えてきているため、クラウド上でネットワークを組む技術の証明が必要な場面もありますが、シスコ技術者認定試験はクラウド上の技術についても対応している試験です。
ネットワークやサーバーに関わるインフラエンジニアを目指す方は、ネットワークスペシャリストなどの国家試験と合わせて、シスコ技術者認定試験の取得も考えて見ると良いでしょう。(ピアソンVUEより申込みできます。コンピューター方式の試験です。試験価格はCCNPで3万4千円程度です)
ネットワークスペシャリスト試験の受験資格と日程と費用のまとめ
誰でも受験することができます。
対象者として、高度IT人材として確立した専門分野をもち、ネットワークに関係する固有技術を活用し、最適な情報システム基盤の企画・要件定義・開発・運用・保守において中心的な役割を果たすとともに、固有技術の専門家として、情報セキュリティを含む情報システムの企画・要件定義・開発・運用・保守への技術支援を行う方とされています。
午前Ⅰ:多肢選択式(四肢択一):30問
午前Ⅱ:多肢選択式(四肢択一):25問
午後Ⅰ:記述式:3問中2問選択解答
午後Ⅱ:記述式:2問中1問選択解答
- 基礎理論
- アルゴリズムとプログラミング
- コンピュータ構成要素
- システム構成要素
- ソフトウェア
- ハードウェア
- ヒューマンインターフェース
- マルチメディア
- データベース
- ネットワーク
- セキュリティ
- システム開発技術
- ソフトウェア管理開発技術
- プロジェクトマネジメント
- サービスマネジメント
- システム監査
- システム戦略
- システム企画
- 経営戦略マネジメント
- 技術戦略マネジメント
- ビジネスインダストリ
- 企業活動・法務
年1回受験できます。
10月第3日曜日
午前Ⅰ:9:30~10:20(50分)
午前Ⅱ:10:50~11:30(40分)
午後Ⅰ:12:30~14:00(90分)
午後Ⅱ:14:30~16:30 (120分)
受験手数料:5,700円
【申し込み方法】
インターネットまたは郵送で申込
【受付】試験の3ヶ月程度前から1ヶ月間
札幌、帯広、旭川、函館、北見、青森、盛岡、仙台、秋田、山形、郡山、水戸、つくば、宇都宮、前橋、新潟、長岡、埼玉、千葉、柏、東京、八王子、横浜、藤沢、厚木、長野、甲府、静岡、浜松、
豊橋、名古屋、岐阜、四日市、富山、金沢、福井、滋賀、京都、大阪、奈良、神戸、姫路、和歌山、
鳥取、松江、岡山、福山、広島、山口、徳島、高松、松山、高知、北九州、福岡、佐賀、長崎、熊本、
大分、宮崎、鹿児島、那覇
約2ヶ月後にWebで確認できます
ネットワークスペシャリスト試験の試験内容と詳細
応用情報技術者試験に合格している場合、2年以内であれば午前Ⅰの受験は免除されます。また、上位資格のいずれかの試験に合格しているか、午前Ⅰの試験で基準点を満たしている場合にも午前Ⅰの試験は免除されます。
応用情報技術者試験は、レベル3に対応する全般的な情報技術関連知識が問われる試験でしたが、ネットワークスペシャリスト試験では、午前Ⅱの試験でネットワーク、セキュリティについては最上位のレベル4の難易度が求められます。
午後の試験の出題内容は以下の通りです。
- ネットワークシステムの企画・要件定義・設計・構築に関すること:ネットワークシステムの要求分析,論理設計,物理設計,信頼性設計,性能設計,セキュリティ設計,アドレス設計,運用設計,インプリメンテーション,テスト,移行,評価(性能,信頼性,品質,経済性ほか),改善提案 など
- ネットワークシステムの運用・保守に関すること:ネットワーク監視,バックアップ,リカバリ,構成管理,セキュリティ管理 など
- ネットワーク技術に関すること:ネットワークシステムの構成技術,トラフィック制御に関する技術,待ち行列理論,セキュリティ技術,信頼性設計,符号化・データ伝送技術,ネットワーク仮想化技術,無線 LAN 技術 など
- ネットワークサービス活用に関すること:市場で実現している,又は実現しつつある各種ネットワークサービスの利用技術,評価技術及び現行システムからの移行技術 など
- ネットワークアプリケーション技術に関すること:電子メール,ファイル転送,Web 技術,コンテンツ配信,IoT/M2M など
- ネットワーク関連法規・標準に関すること:ネットワーク関連法規,ネットワークに関する国内・国際標準及びその他規格 など
ネットワークスペシャリスト試験に合格するための学校選び
大手予備校のTACでは、6万円台~10万円程度でネットワークスペシャリスト試験の講座が開講されています。DVDかWEB講座になります。
また、情報系の通信講座を提供しているiTecでは、4万円前後で通信教育を受けることができ、午前Ⅰのみ免除のコースなど、自分の希望に合わせてコースを選択することができます。
上位資格で受験者数がそこまで多くないこともあり、それほど多く予備校の講座がある資格ではありませんが、午後のみなどを選択して通信教育を利用しても良いでしょう。
一般教育給付金を利用することで、ハローワークから学習の支援手当を受けられる場合があります。対象の講座に当てはまる場合には、申請を行い学費負担を減らしましょう。
ネットワークスペシャリスト試験に独学で合格するには
ネットワークスペシャリスト試験に合格する人の多くは、既にネットワークエンジニアとしての経験がある人や、応用情報技術者試験に合格している人のため、ネットワークに関する知識を重点的に勉強することで独学でも十分合格可能です。
よく使われている参考書は以下の通りです。
上記は、現場の内容や背景までしっかり理解するために必要な参考書と、試験の過去問です。
そして、ネットワークスペシャリスト専用の参考書・過去問解説には以下のようなものがあります。自分に合った参考書を見つけるために、必ず手に取って中身を確認して購入しましょう。
合格率は14%~15%程度で推移している
上位資格になるため、難易度が高く、合格率は低めです。
午前・午後の試験ともに60%以上を得点すると合格できます。
ネットワークスペシャリスト試験への求人と年収・時給の目安
IT分野の年収は、350万円~700万円程度が主流ですが、ネットワークエンジニアに対する求人の年収は450万円~800万円程度が多くなります。
ただ、最近積極的に導入されるようになっているAWSやAzureに関する知識や経験が豊富な場合には、年収の高い求人に応募できますし、請負業務としてフリーランスで働くと、一件当たりの単価が高い業務を行うこともできます。
これまでのように、ケーブルを使用したサーバーやネットワークの構築だけでなく、クラウド上のサーバーに対する理解を深めることで、さらなる飛躍が期待できるでしょう。
派遣として働きたい人の場合にも、ネットワークスペシャリストの資格が役に立ちます。高時給の案件には保守・点検やインフラ設計がある場合もあり、都内の場合は時給2,000円~4,000円近くまで募集があります。
情報処理安全確保支援士の資格を取得することで、セキュリティに詳しい人材であることもアピールできます。サーバー機器を提供しているシスコのCCNPなど、ベンダー系資格を合わせて取得する人もいます。
相手の要望を聞いて、要望に沿った安全なネットワークの構築したいと思う人、IT業界のインフラに興味のある人は、ネットワークスペシャリストを受験してインフラエンジニアを目指しましょう。
一度技術が身につくと、派遣として高時給で自由な時間で働く方法や、在宅で働くといった選択ができることがIT系分野の魅力でもあります。
IT分野に興味があり、技術を身につけてフリーで働きたい人こそ、IT関連の資格やプログラミング技術が役に立つでしょう。海外での活躍が期待できるのも、IT分野の強みです。