設置義務がある管理業務主任者資格は不動産の管理会社の就職に強い
国家 | 目安勉強時間 | 1日1時間勉強した場合 | 1日3時間勉強した場合 | 難易度 |
300時間 | 300日 | 100日 | B |
管理業務主任者の設置は国で義務付けられているため需要のある資格
不動産の管理を業として行う場合、30管理組合に1人以上の設置が義務付けられているのが、管理業務主任者です。
マンションで生活している人たちは、管理組合を結成しますが、現在では、生活者がマンション管理を行うことはほとんどなく、マンションには管理人の手配やメンテナンス等を代行して行う管理業者が入っている事がほとんどです。
管理業者は、委託契約に関する重要事項の説明、署名捺印等を行う必要がありますが、この業務は管理業務主任者の独占業務となっています。
不動産の売買に関する重要事項説明と契約を行うのが、宅地建物取引士であり、マンション管理の委託契約に関する重要事項説明と契約を行うのが、管理業務主任者です。
不動産管理に関する資格に、国家資格のマンション管理士がありますが、これは、管理組合側の立場に立った資格で、業者として行うものではなく、個人がコンサルタントのような立場で行うために使用されることの多い資格です。
そのため、求人数の多さを考えた場合には、宅建士か、管理業務主任者の資格を取得する方が良いでしょう。管理業務主任者の資格を取得する人の多くは、既に宅建士の資格を取得していることが多いですが、マンション管理の仕事においては不動産売買・賃貸業務を行う必要はないため、管理業務主任者の資格のみで就職することも可能です。
不動産業界は人口減少や景気の悪化もあり、全体的には落ち込み気味とも言えますが、それでも、どんな時でも人は家で暮らしていきますし、マンションの管理業務が無くなることはないでしょう。
管理業務主任者の仕事内容は主にマンション管理の「フロント業務」など
マンションの管理業務には、掃除や管理人業務、メンテナンスなどがありますが、管理業者は、清掃者や管理人を雇い、必要があれば業者に頼んでマンションの修繕工事を行うよう手配する必要があります。
フロント、と呼ばれる管理業務主任者の有資格者は、管理組合との間に委託業務を締結するための重要事項の説明や、プランの提案、管理状態の報告等を行いながら、マンション管理を健全な状態に保つようにします。
担当するマンションを定期的に点検し、管理人の報告を聞くなどして建物や設備のチェック、修繕の企画・調査を行ったり、管理組合との話合いを通して必要な管理業務をアレンジしたり、会計の収入支出についてチェックしたりと、管理業務に関わるあらゆることを行うのが、管理業務主任者の仕事です。
管理業務を代行する企業は、常に一定数の割合で、設置義務のある管理業務主任者の有資格者の求人募集を行っています。不動産系資格を生かして仕事がしたい方や、マンションに住む人々のために役立つ仕事をしたいと考える方は、シニアになっても生かせる管理業務主任者の資格を取得してみましょう。
人と関わることが多く、人々の意見をまとめる力が必要な仕事です。相手の話を聞きながら、適切な解決策を示すことができる人、マルチタスクな人に向いている仕事と言えるでしょう。
管理業務主任者の受験資格と日程と費用のまとめ
管理業務主任者の試験内容についての詳細
管理業務主任者試験で出題される内容の詳細
1.管理事務の委託契約に関すること | 民法(「契約」及び契約の特別な類型としての「委託契約」を締結する観点から必要なもの)、マンション標準管理委託契約書等 |
2.管理組合の会計の収入及び支出の調定並びに出納に関すること | 簿記、財務諸表論等 |
3.建物及び附属設備の維持又は修繕に関する企画又は実施の調整に関すること | 建築物の構造及び概要、建築物に使用されている主な材料の概要、建築物の部位の名称等、建築設備の概要、建築物の維持保全に関する知識及びその関係法令(建築基準法、水道法等)、建築物の劣化、修繕工事の内容及びその実施の手続に関する事項等 |
4.マンションの管理の適正化の推進に関する法律に関すること | マンションの管理の適正化の推進に関する法律、マンション管理適正化指針等 |
5.1.から4.に掲げるもののほか、管理事務の実施に関すること | 建物の区分所有等に関する法律(管理規約、集会に関すること等管理事務の実施を行うにつき必要なもの)等 |
管理業務主任者試験に合格するための学校・テキスト選び
管理業務主任者試験を独学で目指す場合
管理業務主任者試験を受験する人の中には、宅建士の資格や簿記の資格の合格者である事が多く、この場合、勉強範囲が狭まります。
独学でも十分に合格できると言われる管理業務主任者試験ですが、勉強せずに合格できるほど易しい試験ではないこと、ギリギリのラインでの受験の場合、年によっては不合格になってしまうこと、年に1度しか受験のチャンスがないことを考えると、十分に勉強をした上で試験に臨む必要はあります。
良く使用されるテキストは、TAC出版のものになります。※テキストには相性があります。必ず内容をチェックしてから購入しましょう。
テキスト学習ではなく、DVDなどを利用した学習を行いたい場合には、TAC出版の、独学道場(26,400円)などのDVD学習がセットになった教材を利用すると良いでしょう。
予備校や通信教育を利用して管理業務主任者に合格するには
大手予備校では、マンション管理士と同時受講できるコース等も用意しています。DVDや通学、通信講座があります。
学校名 | TAC | LEC | 日建学院 |
特徴 | DVDとWEB通信、通学があります。 テキストの評価が元々高いため、通信も学校もテキストも人気です。 おためし講座があります。 | DVDとWEB通信、通学があります。 テキスト2大勢力の1つです。(TACかLEC おためし講座があります。 | DVDとWEB通信、通学があります。
おためし講座があります。 |
金額 | 通信・通学:12万円程度 | 通信・通学:8~10万円程度 | 通信・通学:8万円程度 |
※気になっている学校の資料は取り寄せて見比べましょう。ほとんどの学校がおためし講座を開講しています。先生やテキストとのとの相性に注意して講座を選びましょう。
通信講座では、アプリ学習で有名なスタディング、宅建合格率の高さで有名なフォーサイト、難関資格講座で有名なアガルート、大手通信講座ユーキャンで取り扱いがあります。ほとんどの講座でマンション管理士の講座がセットです。
スタディング | フォーサイト | アガルート | ユーキャン | |
受講料目安 | 3.6万円程度 | 5.6万円~ | 4万円~ | 7万円程度 |
特徴 | マンション管理士講座を含む | マンション管理士講座を含む | マンション管理士付き講座、単独講座を選択可 | マンション管理士講座を含む |
詳細はこちら | ![]() | ![]() | ![]() |
一般教育給付金を利用することで、ハローワークから学習の支援手当を受けられる場合があります。対象の講座に当てはまる場合には、申請を行い学費負担を減らしましょう。
合格率は23%程度で推移している
年によって合格率は異なりますが、おおむね20~23%程度です。
7割以上の正答率が合格ラインと言われています。
相対評価で合格基準が変わる比較試験となります。そのため、ある程度余裕を持って合格できるよう準備しておく必要があります。
ただ、合否が問われる資格なので、満点で合格する必要はありません。得意な部分で点数を稼ぐなどして、明らかに難しい問題にはこだわらないことも大切です。
マンション管理士と、管理業務主任者は、どちらもマンションに関わる業務を行う仕事のため、試験内容が一部重複します。そのため、互いに試験の一部免除制度があり、どちらかに合格している場合、もう一方の試験の一部が免除されます。
合格率を見た場合には、マンショ管理士は8%程度と難易度が高くなっているため、管理業務主任者の試験を先に受験する人が多くなります。
求人情報の量と年収の目安
管理業務主任者は、管理業務を受託している企業にとって必要な資格です。そのため、常に一定数の求人があると言えます。
年収は350万~600万円程度が多くなります。マンションの管理が必要な地域の全てで募集がありますので、全国規模で使える資格でもあります。
ダブルライセンス、トリプルライセンスを目指す
不動産の売買・管理の業務の全てを引き受ける
不動産の売買から、管理業務の全てを行う大手企業も多く、3つの資格全てを取得してマネージャー職に就けるようになると、年収は900万円程度まで目指せるようになります。
宅建士の資格を生かして売買を中心に行う場合や、マンション管理士の資格と合わせてコンサルタント業務も請け負う場合には、個人の手腕次第で年収はどこまででも伸ばすことができます。
管理業務主任者の資格取得を考えている人は、人と関わる仕事に興味のある人だと思います。
不動産の売買も管理も、人の悩みを解決する仕事です。話す技術を磨きながら、コンサルタントや売買仲介業者として独立する道を考えてみるのも良いでしょう。