知的財産管理技能検定は知的財産の重要性からニーズ高まる国家資格
国家 | 資格難易度別 | 目安勉強時間 | 1日2時間勉強した場合 | 難易度 |
知財3級 | 30時間 | 15日 | D | |
知財2級 | 60時間 | 30日 | C |
特許に関わる仕事に就ける知的財産管理技能検定はアピール資格としても有利
著作権や意匠権、商標や特許などの知的財産に関わる業務は、どの企業や組織、個人にも関係ある事でありながら、誰もが知識を持っているものではありません。
作品に自動で発生する著作権、デザインについて登録をすることで保護される意匠権、ネーミングについての権利を守る商標、技術を保護するための特許などについての基礎的な知識を持つことを証明するのが国家資格である知的財産管理技能検定です。
3級では初歩的な内容を扱い、2級では基本的な内容を取り扱っています。
3級合格者、または実務経験が2年以上の場合に知的財産管理技能検定2級の受験資格を得ることができます。(その他にも受験できる場合があります)
1級については、専門分野に分かれてさらに深い知識を試される資格になります。就職を考える場合には、経験者であるか、知的財産管理技能検定2級が求められることが多く、1級を取得している必要はありません。
知財に関わるプロを目指す場合であれば、特許業務を経験しながら弁理士を目指すことになるでしょう。弁理士は誰でも受験できる資格で、独立開業している人、就職して企業に勤めている人のどちらも多い仕事です。
企業で知的財産に関わる業務を行う場合には、業種によって内容は異なりますが、特許権を侵害していないかを調査したり、特許申請のための必要書類を集めたり、その他知的財産に関わる権利の調査や申請業務を行うことになります。
英語を使用した業務が発生することもあるため、英語力を合わせて所有していることで、仕事の幅が広がり、就職や年収アップにつながります。
デザインに関わる業界から、著作権を多く扱う業界、技術を扱う業界など、あらゆる企業で知的財産に関する資格や知識を持った人材が求められています。
知財に関わる仕事をしている、興味のある人の場合には、特許庁へ民間から応募して就職し、5年以上の経験を積んで弁理士になる事もできます。
知的財産管理技能検定2級を取得して就職・転職・部署の異動などにより知財の勉強を積み、弁理士試験の勉強をするという方法もありますが、知的財産管理技能検定の資格のみでも十分に企業が求める知財関係の仕事を行うことができます。
知的財産に関する業務がある主な就職先
コンテンツの制作部門のある会社
出版社やレコード会社、映画の制作会社などには、著作権を管理する部門があります。また、アパレルメーカーやデザイン会社などでは、自社の意匠権を守りながら、企業ブランドの確立とビジネスの拡大を目指します。
企業の法務部門に務める
企業の法務部門は、特許の調査や出願書類の作成、特許庁や特許事務所との対応など、特許に関する業務を行います。
特許事務所
特許事務所でも、知的財産管理技能士が求められます。英語力がある場合には、翻訳業務などに従事することもできます。
知的財産管理技能検定の受験資格と日程と費用のまとめ
知的財産管理技能検定は、3級から1級まであり、1級は専門分野毎に細かく分かれています。ここでは、一般的な流れである3級→2級の順に取得することを考え、先に3級の受験資格についてを記載し、次ぎに2級の受験要項についてまとめます。
知的財産管理技能検定3級
原則として年3回実施
3月、11月、7月
学科試験:5,500円
実技試験:5,500円
別途事務手数料が400円程度かかります
3ヶ月程度申込可能期間があり、試験実施日の1ヶ月程度で締め切り
Web申込ができます
郵送での取り寄せも可能です
申込書類は検定運営事務局に封書で請求する
各回によって、実施する試験、実施地区が異なります。
18程度の都道府県で実施しています
試験実施の1ヶ月半~2ヶ月以内に発表されます。
Web申込の場合はWeb上での発表
郵送の場合は郵送で発表
学科と実技の片方合格の場合は合格した方の合格証が届きます。合格した部分については次回は免除されます。
※3級合格者が2級を受験する場合には、合格後約3年以内に受験する必要があります。
知的財産管理技能検定2級
原則として年3回実施
3月、11月、7月
学科試験:7,500円
実技試験:7,500円
別途事務手数料が400円程度かかります
3ヶ月程度申込可能期間があり、試験実施日の1ヶ月程度で締め切り
Web申込ができます
郵送での取り寄せも可能
申込書類は検定運営事務局に封書で請求する
各回によって、実施する試験、実施地区が異なります。
18程度の都道府県で実施しています
試験実施の1ヶ月半~2ヶ月以内に発表されます。
Web申込の場合はWeb上での発表
郵送の場合は郵送で発表
学科と実技の片方合格の場合は合格した方の合格証が届きます。合格した部分については次回は免除されます。
知的財産管理技能検定の試験内容についての詳細
上記試験範囲内について、3級では初歩的な内容を確認する試験を行います。
2級では、基本的な知識を確認する内容が出題されます。
学科試験は択一式で行われ、実技試験では〇×や、数字、選択群の中の記号を記入する形式で行われます。
3級・2級で求められる能力について
3級で求められている能力は、知的財産分野について、初歩的なマネジメント能力があることです。
具体的には、企業・団体(学校・官公庁等)において知的財産分野の特にブランド保護、技術保護、コンテンツ保護、デザイン保護、契約、エンフォースメント(権利行使)に関する初歩的知識を有し、それに関する課題を発見することができ、一定条件下ではその課題の解決までできる技能があることとされています。
2級で求められている能力は、知的財産分野全般(特許、商標、著作権等)について、基本的なマネジメント能力があることです。
具体的には、企業・団体等において知的財産に関する戦略、法務、リスクマネジメント、調査、ブランド保護、技術保護、コンテンツ保護、デザイン保護、契約、エンフォースメント(権利行使)に関する幅広い基本的知識を有し、業務上の課題を発見し、一部は自律的に解決できる技能があることとされています。
3級合格の時点で知財関係の企業に就職する事もできますが、汎用性があるのは2級資格となります。
知的財産技能検定に合格するための学校選び
知的財産技能検定資格は、独学で受験する人が多い資格ですが、WEB講座などで通信学習を行うことができます。2級・3級のどちらも独学で合格可能ですが、学習スタイルに合わせて通信講座等を利用するのがベストです。
TACやLECなどの大手予備校がWeb講座として3万円~4万円程度で講座を開講しています。
また、TACの独学道場でもテキスト・DVD学習ができる講座が販売されており、この場合には1万3千円程度です。
公式テキストと過去問題集のみで満点近い点数を獲得する人もいます。
インターネット上で勉強法やまとめを提示しているサイトもあるため、テキストやインターネットを通じて勉強を行う事も出来ます。
一般教育給付金を利用することで、ハローワークから学習の支援手当を受けられる場合があります。対象の講座に当てはまる場合には、申請を行い学費負担を減らしましょう。
知的財産技能検定の合格率の推移
知的財産技能検定3級の合格率は60%~70%の間、2級の合格率は、学科・実技ともに40%~50%程度です。
3級の合格基準は、学科試験 満点の70%以上、実技試験 満点の70%以上です。
2級の合格基準は、学科試験 満点の80%以上、実技試験 満点の80%以上です。
資格難易度としてはそこまで高くはないですが、2級の実技試験については、合格率が40%を切ることもあるため、注意が必要です。
知的財産技能検定の資格への求人と年収の目安
知財関係の仕事の求人の多くは、知財関係の経験者、または知的財産技能検定の有資格者を求めものです。
年収は450万円から900万円程です。
英語力がある場合には、さらに求人と年収の幅を期待することができます。
派遣会社を利用して就職する場合にも知的財産技能検定は役に立ちます。特許関係の事務所や企業法務の分野では、1,700~2,000円以上の時給で働くことができます。(東京近郊)
また、語学力が高く英語翻訳等が行える人の場合には、さらに良い条件で働ける可能性もあります。(目安としてToeic 800点以上)
翻訳業務を行う人の中には、特許翻訳を専門とする人がいます。この場合、知財の資格を取得していると就職もしやすく、また、在宅翻訳者としても安定して仕事を得ることができます。
ステップアップとして弁理士を目指す人もいます。弁理士を目指して知的財産の勉強をしながら法務部や特許事務所に勤めるという方法もありますので、弁理士についても合わせて検討してみると良いと思います。
ダブルライセンス・トリプルライセンスを目指すなら
知的財産管理技能検定2級の資格を取得していると、知財関係の部署に就職しやすくなります。その後は、英語力を高めるためにToeic受験や英検の受験を検討してみると良いでしょう。
日本系企業の場合には、Toeic800以上を目安として要求されることが多くなります。
発明や新しいアイデア、著作権などに興味のある方、大学の学部が理系だった場合で、知識を生かして仕事をしたい場合、いつかは弁理士の資格を取得したいと考えている場合などは、知的財産管理技能検定を受検し、知財に関わる仕事をしてみましょう。