海と山への散骨と、樹木葬、合葬墓を比較する
火葬した後の身体の行き先を決めるために
最近では、墓じまいをしてお墓を持たない人が増えたこともあり、火葬された後の骨をどのような形で埋葬、または散骨するかを悩む方も増えています。
火葬された後の骨の行き先として考えられるものと、大まかな費用については以下の通りです。
散骨と管理費のかからない納骨の仕方海洋散骨・・・・・・ 5~25万(指定の海洋への散骨)
山への散骨・・・・・・ 0~25万(国有林に散骨)
樹木葬・・・・・・ 30万~70万程度が多い(年間管理費があるところも)
合葬墓・・・・・・ 一体2万5千円程度(自治体による)
この他にも宇宙葬や空への散骨などがありますが、まだ一般化していないために費用には偏りがありますし、実施している場所も限られてきます。
海洋散骨や山への散骨についても、もっと安い価格で取り扱っている所はありますが、その場合には、粉骨(骨を細かくして、散骨できる大きさにすること)以外の対応は含まれていないこともありますので、安心して散骨を行うためには、プランの確立している散骨の方法を選んだ方が良いと思われます。
具体的な散骨の方法と、その後の管理について
大海原に還ることを選ぶなら海洋散骨
散骨は、粉骨して骨を細かくしておけば、撒く事に対する法律上の規制はありません。ただし、私有地などの所有者がいる土地に散骨する場合には別で許可が要りますので、気に入っていた山だから、海だからといって無許可で散骨をした場合には、トラブルが発生する可能性があります。
気持ち良く散骨するためにも、許可の下りている場所で、案内人と一緒に散骨をするのが確実だと思います。
海洋散骨は、日本の沿岸部の許可されている海洋にクルーザーで出かけて散骨をするプランです。
代行で散骨をしてもらう場合には5万円程度、合同散骨という形で、何組かの方々と一緒に散骨を行う場合には12万円程度、ご家族や親族などでクルーザーをチャーターして向かう場合には、25万円程度の費用がかかります。
チャーターの場合には、食事やお酒の手配もあります。海洋散骨の場合には、その場でセレモニー形式で散骨を行うことができ、会社によっては散骨の証明書も送付してもらえるために、思い出として深く残る散骨になるでしょう。
海洋散骨の場合には、骨は全て海に撒く事になりますので、その後の管理費等が発生することはありません。
一方で、海に散骨する場合には、気軽にその場を尋ねることは難しくなりますので、お参りする場所が欲しいという場合には、向いていない方法と言えます。
海洋散骨のプランを提案している会社は増えてきていますので、プランを比較し、海の場所を確かめてから申し込みしましょう。
海洋散骨の場合には、人の目のある場所、桟橋から船に乗り込みますので、基本的には喪服は着てはいけないことになっています。葬儀とは異なりますので、私服で行くようにしましょう。
山が好きだった方の多くが希望する山への散骨の方法
山上りが好きだった方や、山に囲まれて暮らしていた方の場合には、海より山に散骨して欲しいと遺言として残される方も多いです。
山の場合は、私有地であることも多いので、好きだった山に必ず散骨ができる訳ではありませんが、私有林の所有者の許可を得た場合には散骨ができます。また、国有林であれば、散骨を行っている会社もありますが、国有林に散骨をしても良いかについては、まだ結論が出ていません。
山への散骨については、サービスを頼む場合は代行になりますので、自分で散骨をすることはできません。もし、故人が山上りが好きで、厳しい登山も好きだったとなれば、代行者に登山をしてもらい、散骨をお願いした方が良いと思います。
もしくは、身近な山の私有林で所有者の許可を得られる場合には、自分達で山に登り、散骨をすることになります。国有林の場合には、実際に散骨をしている方や、された方は多くいるのですが、公然と許可されている状況ではないのが事実です。
散骨については解釈が分かれるところもあり、山での散骨について誰もが散骨に賛成してくれる訳ではないと思っておいた方が良いでしょう。登山をした際に、周りに人がいる場合、注意される可能性もありますので、その当たりも念頭に置いて散骨を行う必要があります。
自分達で散骨をする際に必要なのは、粉骨の依頼です。粉骨には1.2万円程度かかりますが、骨を細かくしてもらうことで、それを抱えて自分達で山に登り、散骨をすることができるのです。
国有林はみんなのものですので、散骨に対する考え方も様々です。登山をしている他の方の目に付く場所で散骨をしたり、手近な所に撒くとトラブルが発生しかねません。マナーには十分に気を付けて行うようにしましょう。(今はまだ法律が整備されていませんが、散骨者が増えることで、今後規制や申請の整備がされる可能性はあります)
山の場合は、登りやすい国有林、私有林で許可がある場所であれば、その後も供養の為に訪れることができます。ただし、高齢になると山に登るのは難しくなるので、期限はあると思った方が良いです。
自然な形の埋葬をしたいけれども、定期的な供養もしたい方は樹木葬
樹木葬の場合には、海や山への散骨よりも金額は高くなります。決められた土地、お寺、庭園などに設けられたスペースの一部にある樹木の下に骨を撒くことになりますので、土地の代金も含まれていると考えられます。
樹木葬を行っているお寺や庭園などは多くありますので、場所や施設を見学してから決めましょう。
注意したいのは、樹木葬の場合には、年間管理費がかかる所もあるということです。年間管理費がない所も多いですが、樹木葬をしたらそれ後は費用はかからないのかを確かめておくようにしましょう。
樹木葬の場合には、散骨先が比較的尋ねやすい場所にあることが多いので、散骨後も定期的に訪れることのできる場所があります。年に一度は骨のある場所を訪れて供養したいなどという場合には、ある程度高齢になっても訪れやすい樹木葬が良いと思われます。
樹木葬や山への散骨を寺やNPO法人を通じて行う場合
無宗教ではなく、仏教に関連した樹木葬や山への散骨に対応しているお寺もあります。その場合、NPO法人が入っている場合には価格帯は低め、寺主体の場合には少し高めになっていることが多いです。
仏教に沿った形で行うとなると、三回忌まではお骨を保全しておくなどの対応も入ってくる場合があるために、すぐに散骨とはいかないこともありますので、注意して下さい。
お金に余裕がない場合や、地元が良い方には合同葬という選択も
地域には、合葬墓がある場所もあります。お骨を収める時に費用が一体2.5万円ほどかかりますが、その後は管理費がかからないお墓も多いです。
地域の合同葬の場合には、年間管理費がかかる場所もありますので、その辺は注意して確認をしてから、埋葬する必要があります。
墓じまいの時に出て来た骨壺の骨などは、こうした合同葬をしている地域のお墓に埋葬する方も多いです。他にも、人の多い場所が好きな方を埋葬される場合などには、地域の永代供養のお墓を探してみると良いと思います。
散骨と納骨の仕方のまとめ
散骨や樹木葬、合同葬をすることにより、墓じまいや、その後の骨の行き先の心配をする必要がなくなります。
埋葬の仕方でその後の供養の仕方は変わってきますが、それぞれに、故人の遺志と、残された遺族の意志がありますので、それらを考えて、関係者で相談の上決定するのが良いと思います。
まだまだ業者数が足りない散骨の方法(宇宙葬や空からの散骨など)もありますが、これからさらに無宗教の形態での散骨が増えていきますので、新しい散骨の形、埋葬の形が出てくる事もあると思います。
時代の変化に合わせて、自分達が納得できる散骨、埋葬の形を選んでいきましょう。
手元に骨を少しでも残しておきたいと考える方には、骨の一部をアクセサリーにする方法もあります。骨を直接アクセサリーに入れる方法から、樹脂に包んでアクセサリーと一体化させる方法、骨からダイアモンドを作る方法などもありますので、そちらも検討して見ると良いと思います。