狩猟採集時代は肥満と不倫の遺伝子を誕生させた時代 

太る 遺伝 原因 知識/教養
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カロリーが高い物が好きなのも不倫・浮気の性質も遺伝的本能なのか

狩猟採集民としての10万年を超える長い歴史が太る遺伝子を作った

私たちにとっては当たり前となっている現在の世界。そこでは、鉱物や鉱石でできたガラス張りのビルの中で働くサラリーマンがいて、そんな中に「田舎に住んでいるんですよ」と言う人が居たとしても、その家は立派な木造の平屋であったりします。

 

けれど、15万年程前に東アフリカで誕生し、その後7万年前にアフリカ大陸を出て時間をかけて世界へと広がったホモ・サピエンスの(または、ホモ・サピエンス・サピエンスの)遺伝子に刻まれている歴史の多くは狩猟採集民族の頃のものです。木の上で身体を曲げて眠り、食べ物を求めて移動していた時代の遺伝子が、今の私たちを動かす大元になっているのです。

 

ほんのわずか1万年程前に始まった農業による生活や、たかだか200年程度の産業の発達による社会で人類が経験したことの多くは、まだ遺伝子に組み込まれるほどに十分な時間を経過していないと言われています。

 

さらに、食生活について言えば、ほんの数十年前まで、日本でも多くの人が食糧難に苦しんでいたことを思えば、私たちの身体の中に刻まれている遺伝子のルールが、「食べられるものがある時には、いっぱい食べろ! それも、カロリーが高いものを食べろ!」であっても、おかしくありません。

 

栄養的には、ほとんどの高カロリーの食べ物が身体に良くないですし、太ればそれだけ疾患の可能性が高まり、死の可能性が高まるという意味でリスクが高くなります。しかし、それを頭で分かっていても、食べたいという気持ちは止められません。止められ人がいるとしても、それは我慢をするという努力の上で、という事になります。

 

狩猟採集民族として生きた過去を持つ私たちは、ヘビや、大型の動物などを怖がるようにできています。また、食べてはいけないものを見分ける知恵も身につけました。さらに、万が一食べてはいけないものを食べたり、毒に当たった場合には、解毒しようという作用がはたらいて下痢を起こしたり、熱を出したりすることで免疫系統が頑張って病を退治しようとしてくれます。

 

しかし、日々カロリーを取り過ぎたからといって、痩せる作用が自動的にはたらくことはありません。そればかりか、甘い物を見ると食欲が減退するといった脳の作用が起こってくれることもなく、むしろ、甘い物を食べると、もっと、もっとと多く求めるようになるのです。

 

中には、甘い物は元々嫌いだと言う人もいますが、その人の場合にも、お酒が好き、塩っぽい物が好きなど、過剰に食べてしまうものがあるのではないでしょうか。どう考えても摂取量が多すぎと思っていても、やめられないものがあることは多いものです。

 

かつて、狩猟採集民族として生きた私たちは、滅多なことでは甘い物にはありつけませんでした。ごく稀に、熟れた果実を見つけたら、他の動物に取られる前に、ここぞとばかりにその場でお腹に詰めてしまうのがベストな選択でした。

 

私たちのDNAは、カロリーの高いものを見つけたらとにかく食べられるだけ食べておけ、と私たちに命令します。その命令は、ここ最近の急激な飽食の時代に合わせて変化することはなく、これからも当面の間、人類は健康のためにダイエットをするという命題から逃れられそうもありません

 

これをコントロールできる方法があるとすれば、後発的に会得している教育による理解や、理性による努力によって、本能を克服するしかありません。

 

健康に長生きしたいという思いのある人は、狩猟採集民族時代のDNAの指令に負けないよう、意志を持って対抗しなくてはいけないという事なのです。

 

さらに、過去の遺伝子が私たちの意志をコントロールしているという考えに、浮気と不倫に関するものがあります。

一夫一婦制は遺伝子のルールに反しているため不倫が起こるという説

夫婦とは、1人の男と1人の女で成り立ち、その子供については夫婦が共に育てるもの。

 

上記のような考えを今でも硬く信じて疑わない人が大勢います。最近では、LGBTQXなど、多様な性に対する寛容さが世の中に生まれてきてはいますが、しかし、その場合でも、カップルと言えば、対になるもの、というイメージは強いものです。

ポリアモリーであると公言し、一夫多妻、一妻多夫を実現している人もいるにはいますが、数はとても少なく、メディアがこぞって取り上げるほどに珍しいもの扱いされています。

 

しかし、狩猟採集民族の時代には、こうした一夫多妻や一妻多夫は、または誰もが自由に性行を行うことのできる世界が当たり前に広がっていた可能性が高いのです。もちろん、中には小さなコミュニティ単位で独自の信仰があり、一妻一夫など、夫婦に関する規定があった集団も存在したかも知れません。しかし、ほんの少し前の日本でも、通い婚や、お祭りの時に男女が好きに交わるなどといった文化があったように、子供ができるための生殖の過程は、文化に応じて多種多様なものであったと思われます。

 

そもそも、狩猟採集民族の時代には、子供がどうやってできるのかについての考え方が今のようには確立されていませんでした。生物学などない時代であり、さらに、哲学や心理学、倫理学なども発達していない時代です。子供が、ほとんどの場合、1つの精子と1つの卵子が結び付いてできるということを知っている人間は一人もいません。

 

この頃の時代には、子供が生まれること、生めることを最優先に社会があったと考える方が自然です。そのため、なるべく妊娠の確率を上げたいと女性は考えたことでしょう。

妊娠する確率は、なるべく多くの異性と交配する方が高くなります。もしかすると、経験的に狩猟採集時代の人類は、その事を自然に知っていた可能性もあります。

 

さらに、多くの人と関係を持てば、それだけ、多くの男性の素晴らしい形質を引き継いだ子供が生まれると信じていた女性もいるでしょう。

比較的数の少ない人々のコミュニティの中で生まれる子供たちは、顔や身体的特徴は、コミュニティのほとんどの人と似ていた可能性が高く、その子供が誰の子かなど、確かめる術もありません。まさか、遺伝子が1人の男性からしか受け継がれないなどと、思いもしなかったはずです。

父親の役割を担い面倒を見てくれる男性の数が増えるという点でも、一夫一妻はデメリットが多いため、一夫一妻制度はごく最近になって取り入れられたものであることが見えてきます。

 

こうした背景から、現在のような一夫一婦制度というのは、DNAに反した行為であり、そのために、離婚率や不倫率が高いのだという説明がされることもあります

 

誰か1人の人と、心から愛し合って長い年月を過ごすというのは並大抵の事ではありません。

法律の縛りがないところで、心から尊敬して愛し合える2人というのは、奇跡のような確率でしか存在しないかも知れません。

 

離婚率や不倫率が高い原因が、DNAのせいなのか、それとも、強制されることに対して人が感じる窮屈さからなのか、そのどれもが一夫一妻を否定している可能性が高いですが、そうした背景もあってか、最近では欧米諸国でも、日本でも、事実婚を選択するパートナーや、離婚を前向きに捉えるカップルが増えてきています。

もしかすると、もう百年も過ぎれば、結婚の形は今とはまるで違うものになっているかも知れません。

遺伝子を進化させて人間のパートナーとなった犬たち

犬と猫 人類

遺伝子の進化が最近の急激な変化に追いつかない人間とは違い、長い時間をかけてその性質を変化させ、人間と暮らすことにすっかり適応している動物がいます。

狩猟採集民族であった時代の人類は、わずかな石器と木器を抱えて移動する生活をしている段階にあり、この頃には動物の家畜化を行える状況にはありませんでした。

 

しかし、農業革命が起こる前の時点で、すでに人と共に暮らすことを選んだ動物が1種類だけいます。

それが、です。

犬は、1万5000年前には家畜化され、今も人と共に生き、人とでなければ生きられないように進化しています。

 

犬といえば、人懐っこいというイメージがありますが、その忠犬さが最大の魅力であるという人もいれば、そこが苦手で、気まぐれな猫が好きという人もいます。この、犬の従順さや、人に対する関心の強さは、犬が人と共に進化したために犬の中で起こったDNAの変化や淘汰の結果です。

 

良く物事に気が付き、従順な犬ほど、大切にされ、次世代に種を残すことができるとなれば、生き残っていくのは、従順で、人の役に立つ犬ばかりになります。

こうして、より忠犬となった犬が人間に好かれて生き残り、今の犬と人間との関係を築いたのです。

 

証拠として見つかっている限りで1万5千年前、実際にはさらにはるか昔から人と共に生きていたのではないかと言われる犬の中にも、まだあまり人に懐かない性質を持つものもあります。そう考えると、たった1万2千年ほどの農耕民族としての暮らしや、200年程の近代文明の時代の生き方が、人間の遺伝子に刻まれる時間などなかったというのも、納得できるのではないでしょうか。

 

ただ、いくら太るのは遺伝子のせい、不倫も浮気も遺伝子のせいなのだから自然なことだと主張したくなっても、理性により制御できる可能性のあるものまで、全てを遺伝子のせいにしてしまっては、人間であるかいがないというものです。

体型の選択はもちろん自由です。だからこそ、健康な体型を望むこともまた自由であり、自分の責任となります。

浮気や不倫についても、同様に、自由であるからこそ責任があり、人を傷つければ信頼は消えて無くなるという点には十分注意が必要です。

他人が傷付いていないか、自分はこれで良いと思っているのかといった第三者的視点から物を見ることができる以上は、7割程度は遺伝子のせいにしたとしても、やはり残りの3割で、健康を余りに害して他人に心配はかけなようにしなくてはと思う事や、自制心や自立心を持った、信頼のおける人になる努力が必要だと思いたいものです。

 

これは、サピエンス全史をまとめつつ、その他の情報を付加してお届けしている第二回目の記事です。

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