医療費のコストを知ることでベストな医療保険と死亡保険を選ぶ
保険は何のためにあるのか

保険は防御用の道具です。いざという時に自分を守ってくれるもの。
車の保険や、海外に行く時に加入する海外旅行保険、そしてバンジージャンプをする際に一日だけ入るスポーツ保険など、保険には種類は色々あります。
これらは、事故での怪我や万一の死亡の際に自分や家族のためにお金が出るものです。
何か不慮の出来事が起きた場合にかかる病院への支払いや、家族の今後の生活の費用に充てるために保険があるのですが、保険には、それぞれに保障の範囲と補償費用の限度があります。
誰もが持っている保険証は医療保険の中でも最強の防御力を持つ
国民健康保険や働いている人が事業者の下で加入する健康保険は、あらゆる保険の中でも最も力の強い保険と言えます。
健康保険や国民健康保険は医療保険になりますが、保険証を提示することで、病気や怪我で通院、入院した場合、医療費負担が高額な人でも3割負担になるというものです。
美容整形や美容歯科などの美容目的でない限り、ほくろの除去や虫歯の治療にいたるまで、ほとんどの病気や怪我は保険の対象です。(2020年に、花粉の治療薬は保険適用外になります)
その他にも、入院した時の食事代もカバーされており、所得に応じて変化はしますが、高額でも460円で済みますし、入院時のベッド代についても、病院で案内された部屋を使用している限りは、個室でも大部屋でも保険適用の対象となります。
- 一般的な病気での通院・入院:3割負担が限度額
- 入院した時の食事代:100円~460円
- 入院した時のベッド代は自分自身が希望を出さなければ保険の範囲で負担
- 骨折やねんざなどで整体に行った場合(適用外もあります)
- はり・きゅう・あんま・マッサージ(医師の指示がある場合)
- 治療用装具(コルセットなど)を購入した場合
- 子供が生まれた時の出産一時金42万円
- 人が亡くなった場合の葬祭費(自治体によりますが、5万円程度)
さらに、医療保険には高額療養費制度という、自己負担の限度額が決まっている制度があります。これは、収入により左右されますが、年収が370万円~770万円以下の人の場合に、仮に高額ながん治療などで300万円かかった場合に3割負担の保険を適用して実費として90万円の費用がかかった場合に、107,430円の負担で済むという制度です。
つまり、健康保険に加入しているだけで、自分で支払う費用の限度額はおおむね10万円程度になるということです。(仮に300万円の治療を受けても、実際の支払いは11万円以下です)
※1つの医療機関における月の支払い額が21,000円以上のものが対象です。
ではなぜ、民間の保険や共済があるのかと言うと、保険や共済に入ることでよりよい医療の環境を手に入れるためであり、かつ、実費負担を減らすか、ゼロにするためです。
ですので、日々の生活すらままならないという方が、共済や民間の医療保険に無理して入る必要はありません。市民税非課税世帯などの場合には、どれだけ高額な医療を受けても、実質負担の限度額は35,400円です。
民間保険や共済に入るのは医療費の出費を抑えるため
医療保険に民間や共済で入っている人が入院した場合には、一番安いプランでもほとんどの場合日額5,000円の保険が下ります。
たとえば手術をした場合には、別途内容に応じて手術金の手当として5万~20万円のお金が出ます。
これらは、単純に医療にかかるコストをゼロにするためというよりは、入院中の働けない期間の保障の意味もあります。
(ただし、会社の健康保険に入っている方の場合、病院に通院・入院をして4日目以降であれば傷病手当金として給与の2/3を受け取ることができる制度がありますので、それも併用できます)
保険に入っていると、手術に応じて金額は変わりますが、最低でも日額5,000円、手術の際には追加で5万~20万円の保険が降りる事になります。
この場合、高額医療費負担(国の制度)を利用して、限度額以上の負担分は返金を受けることもできます。
※生命保険や共済の保険金を受け取っても、高額医療費負担の申請はして下さい。併用できます。
80,100円+(医療費-267,000)×1% が負担の限度額
入院中は日額費用がでる。例えば、5千円×7日=3.5万円
手術費用の手当として手術の内容に応じて:5~20万円
合計 手術がある場合は8.5~20.5万円
この場合、仮に手術で入院して限度額いっぱいに治療費がかかったとしても、実費は8,000円で済むという事です。
高額医療費負担については、21,000円を超えなければ申請できないものですので、例えば短い入院で、費用負担が少なかった場合には、高額療養制度は使用できませんので、保険だけで実費負担を軽くすることになります。
つまり、共済や民間保険に入るメリットは、病気になった場合に、実費を抑えたり、ゼロにしたりできること、場合によっては支払った以上にお金が返ってくることです。
出産を控えた女性が共済に入った場合にどんな給付を受けられるか
保険に入ろうかなと考える人の多くの方は、就職や結婚、出産や住宅の購入などの節目を迎えていることが多いと思います。
特に、出産を控えている女性の場合には、帝王切開などの女性特有の手術を経験する可能性がありますので、そうした手術に備えたいと考えるでしょう。
女性特有の病気や帝王切開などで気を付けたいのは、民間の保険や共済の種類によってはカバーされていない場合や、内容に含まれていても、加入日数が満たない場合には治療費が出ないことがあることです。
そうした不安なく、女性が加入しやすいのが、COOP共済のあいぷらすL2000です。(一番安いプランの場合です)
入院費用(出産後7日間の場合)8,000×7日分=56,000円
帝王切開の手術共済金 40,000円
合計 96,000円
これに加えて、健康保険の出産育児一時金が受け取れますので、医療費の自己負担分、食事代、差額のベッド代、分娩介助料、新生児保育料、その他の保険外の負担費用を除いても、数万円は手元に残る可能性が高くなるのですす。
まとめると、医療保険は実費負担を極限まで減らすか、プラスで受け取れることもあるものだということが分かります。
しかし、もしも自分が支払っている共済や保険の総額が高くなる場合には、共済や民間保険が負担にしかならない場合もあります。
国民健康保険か、会社の健康保険で、どんなに高額でも10万円程度の負担に収まるということは、繰り返し入院や手術になった場合でも、差額のベッド代を負担した場合でも、一生のうちで150万円程度支払うことがあるかないか、という事になります。
共済や民間の保険に入るべきかの基準
- 女性特有の病気やがんに備えておきたい方で、貯金がそこまでない場合
- がん家系だと分かっている方や、病気になる可能性が遺伝的に高い方の場合
- 給料はそれなりにあるけれど、貯金がほとんどない場合
- 自分で資産の管理ができ、貯金が十分にある方
- 経済的に困窮している方
- 健康保険だけで十分だと考える人で、使ってなくなっても困らない貯金が80万円程はある方
結婚や出産を控えているカップルなどの場合には、結婚式や新生活などの費用がかかるために、今はお金に余裕がないというケースも多いと思います。こうした場合には、保険に入っていることで、急な出費の心配を1つ減らせるのです。
仮に、先ほど紹介したCOOP共済(コープ)のL2000というプランに入った場合、最終的にいくら払うことになるでしょう。
つまり、65歳までに総額で90万円ほどの支払いをすることになります。
※65歳以上も加入し続ける場合にはさらに高額になります。高齢で加入を続けた場合には、掛け金が上がるためです。
病院で医療費を負担する可能性があるかないかは、誰にも分かりません。
保険や共済というのは、支え合いのシステムですので、加入している人の全てが利用するとは限りませんが、利用している誰かが助かっているという事実もあります。
終身と定期の医療保険と死亡保険が生命保険の主なもの
医療保険には入っておこうと決めた方が民間のプランや共済のプランを見てまず戸惑うのが、どれが医療保険なのか、名前がごちゃごちゃで何の保険かが分からないことだと思います。
医療保険は、差額のベッド代や実費の負担を減らすものでしたが、共済や民間の保険が出しているものには以下のような保険があります。
入院や手術の際に保険が下りるものです。
65歳など、健康保険が1割負担になる区切り目までのものが多いですが、掛け金を高くすれば85歳程度まで入れます。ただ、その頃には十分な貯金があると思われますので、加入を継続する必要があるかは人によります。
終身と最初に付いているものは、死亡するまで保障が続くものです。
終身の医療保険もありますし、終身の死亡保険もあります。
死亡するまで手術や入院に対する保障が続きます。総額の金額は高くなります。
使用しなかった場合には最終的にお金が返ってくる「保険会社への預金」システムです。
解約するとお金が取られる+利率は他の投資の方が高いものが多いため、貯金が絶対できないという人以外には、メリットはありません。
死亡した場合や重度障害になった場合に高額の保険が降りる仕組みです。
子供が20歳になるまでは、などの期限を決めて入ると良い保険です。500万~7億以上の死亡保険があります。
20年間、死亡保険金を3000万円にして定期死亡保険に入った場合の掛け金は、月々2,400円~です。
他にも、図の中にあるように、入ったものが良い保険には個人賠償責任保険がありますが、これは、入っている医療保険に、月額140円程度を足すことで、最高3億まで保障されるものです。
最近では、自転車を使用する場合の保険加入が義務付けられている自治体が増えてきました。自転車での事故の相手方への保障をこの個人賠償責任保険でまかなうことができます。
民間保険と共済は何がどう違うのか
民間保険と共済保険の違いは、民間が営利目的で経営している事業がほとんどであるのに対し、共済は非営利目的の助け合いであることです。(名の知れている保険会社の多くは株主がいる営利目的の会社です。株の配当金の支払いや、営業の社員への高い給与の支払いのために、同じ保障内容でも共済よりは掛け金が高くなります。)
これまで見てきた通り、医療費はどんなに高額でも1回の手術や入院の自己負担は10万円以下であることがほとんどです。その為、実費を減らす、またはゼロ、少しのプラスになる程度で良いと考える方は、最も安く、しかし支払いのスピードは速い共済の加入がベストになります。
ただ、保険に入る目的は人によりさまざまです。病気になった時には、生活費がまかなえるくらいの保障が欲しいと思う方もいますし、そうした場合には、入院費が1日1万円は出るプランにしたり、一時金やお見舞い金の出るプランを選ぶ事もあると思います。
ただ、保険を仮に月に1万円も払うとすると、年間で12間円、35年払うと420万円になりますので、掛け金を貯金して複利で運用する投資にまわした場合には、どこかの時点で医療費に使ったとしても貯蓄は残りますから、投資の方が結果的には資産としてプラスになる可能性はずっと高くなります。
広告費用が少ないこと、従業員への支払賃金が民間と比べて低いこと、保険の申請数に応じて年間の支払い保険料が少ない場合には、割り戻し金として掛け金が戻るために、費用対効果が最も高いのは共済になります。
しかし、営利目的で営業している保険の案内所や、保険の営業の人は、決してそのようなことは言いません。それは、彼らが保険の契約を取らなければ、会社が成り立たず、自分のお給料が払われないからです。
医療保険に限って言えば、民間ではなく共済が費用より高い効果を得られると言えます。
では、死亡保険はどうでしょうか。
死亡保険は残される家族の生活を支えるもの
不慮の事故や病気で死亡してしまった場合に、残された家族にまとまった金額を渡したい場合、定期の、決められた期間だけ死亡保険に加入するという手があります。
例えば、30歳からの20年間を、死亡時・重度の障害を負った際には3,000万円を受け取る死亡保険に入った場合には最低でも以下の掛け金がかかります。
女性:2400円/月
男性:3000円/月
※COOP共済の場合。男女により寿命が異なるために、月の掛け金は変わってきます
定期死亡保険については、このようにして、20年間だけに備えるなどといったある特定の期間の備えができることがメリットになります。この場合でも、現在の時点では、共済で入る方が金額的には安く収まるようです。
ネット保険が安いという評判もありますが、価格を抑えてもやはり共済で保障できる範囲内であれば、共済の方が安くなります。ただ、共済の死亡保障などは限度額が高くても3,000万円程度ですので、それでは足りないという場合には、ネット保険などが安くなります。
例えば、ライフネット生命で30歳の男性が20年間を死亡時に5,000万円の保障を付ける場合、支払い額は月6,095円(男性)となります。
死亡保障については、3千万円を超えた場合は民間保険を選ぶことになり、その中でも、比較的安いインターネット保険を選ぶことで費用が抑えられます。
逆に、死亡保障の費用を抑えたい場合には、県民共済に加入することがベストです。月の掛け金が2,000円でも、医療保険の充実度が高く、さらに、傷害や事故での死亡では1千万円の支払いが保証されています。つまり、月額2,000円で、医療保険と死亡保険の両方をまかなえるのです。
男性の場合や、帝王切開などの女性特有の病気や手術の保障は必要ない(実費で支払う)と考える方であれば、県民共済が最も費用対効果が高い保険です。
ただ、都道府県民共済には、入る都道府県によって若干の保障内容の差があること、また、都道府県民共済がない県がありますので、その場合には、県民共済には入れません。
- 3000万円以上の死亡保険が欲しい場合
- 病気になったら、とにかく手厚い保障を受けたいと思っていて、かつ、病気になりそうだという方で、それまでは高額な掛け金を払っても良いと考えている場合
- 生命保険会社の業績を上げたい方
先進医療特約を付けると保険の効かない治療に備えられる
民間でも共済でも先進医療特約が付帯できる場合があります。(+100円程度です)
先進医療にかかる費用は全額自己負担となります。今ある先進医療は、数年経てば健康保険の適用範囲に入ることもありますが、先進医療特約を付けておくことで、こうした医療をためらうこと無く受けられることになります。
先進医療を受けるということは、大病院で治療を受け、さらに同意書を求められるような治療を受ける場合のことですので、そこまでの治療水準を望まない方の場合には、必要のないものでもあります。この辺りは、個人の考え方による所が大きいです。
共済や保険に関連した控除や医療費減額の届け出まとめ
会社で働いている方で会社の健康保険に入っている場合には、年末調整の時期になると控除の申請書が届きます。毎年共済や民間保険会社から送られてくる年末調整用の払込証明書を提出するのを忘れないようにしましょう。
生命保険の支払い額と、医療費の負担についてはどちらも控除の対象ですが、医療費については確定申告で申請することになります。10万円を超える医療費がかかっている場合(薬代など全ての自己負担分)には、医療費控除を申請しましょう。
ある月の始まりから終わりまでに同一世帯内で21,000円以上の医療費がかかった場合に限度額以上の負担が返金される制度
年間通じて同一世帯内の医療費が10万円を超えた場合に、税金の控除が受けられる制度(高額療養費制度とは併用可能。スイッチOTC薬控除とは併用不可)
風邪薬など薬局で購入できる指定品を購入した場合に、合計金額が1万2千円を超えた場合に申請できる税金の控除が受けられる制度
スイッチOTC薬控除と医療費控除は併用できませんが、ざっくりと分けてしまうと、一年間で何度も病院に通った場合で医療費が高くなった方は医療費控除を申請するのが良く、風邪や花粉症などで市販薬に頼った生活をしていて、1万2千円を超える薬代がかかっている場合にはスイッチOTC薬控除の申請をしましょう。
主に、医療保険に加入する際の内容を見てきましたが、注意しておきたいのは、医療保険では検査入院は実費になることがほとんどということです。
高い医療保険を払ったとしてもこの傾向は高く、自治体の無料検診や補助金を使わない自分自身で希望する検査や人間ドックの場合には検査費用が自己負担であることがほとんどですので、高い保険だから検査入院など全てがカバーされていると思い込まないように注意しましょう。(自己負担かどうか、念のため確認はしましょう)
医療保険や死亡保険は、日々の生活を圧迫してまで加入するものではありません。ただ、子供がいる場合などは、万が一を考えて掛け金の安い共済などに加入しておくと良いでしょう。
保険の相談をする際には、特定の会社との繋がりがないファイナンシャルプランナーなどに相談された方が、より個人に合ったプランを提供してもらえると思います。