マンションで起こる可能性のあるトラブルを知る
住民トラブルと管理費問題はマンションの課題
騒音問題が起こりやすいのが区分所有建物の特徴
鉄筋コンクリート構造の場合でも、上階からの騒音に悩まされる場合があります。
子供の立てる音、楽器の音、頻繁に人を招く方が上階に住んでいて毎週末うるさくて仕方がないなどの理由で、最終的にはマンションを売却、退去された方もいます。
音に敏感な方はマンションの防音性については特に厳しくチェックし、防音性の高い建物に住む選択をする必要があります。
上下に水場が並んでいるため水漏れ被害が広がりやすい
また、上階や隣の部屋からの水漏れによるトラブルがあることもあります。こうした場合は保険でカバーはされますが、一定期間部屋が利用できないトラブルに巻き込まれる可能性があることは覚悟しておく必要があります。
完全な所有物とはならないベランダの使い方
ベランダでのトラブルは特に多く、タバコの煙が洗濯物に染みついてしまった、また、喫煙者がベランダで吸っていたら注意を受けた、など、喫煙者、禁煙者によるトラブルが後をたちません。
他にも、ベランダで菜園を行っている方がいて、虫が隣家に入ってしまった、鳥が集まるようになり、苦情が来たなど、ベランダの使い方に対する考え方の違いからトラブルになることもあります。
禁煙の方で、かつベランダに洗濯物を干す方や、ベランダで菜園などをしない方にとっては、煙や虫が来ないように全ての居住者がベランダを公共の場として考えることを求めますが、一方で、ベランダでのみ喫煙が許されている方や、家庭菜園を楽しみにしている方にとっては、過大な迷惑をかけない限り、自分の敷地くらい自由に使えるようになることを求めます。
こうした、どちらがはっきり悪いと言えない場合には、よりストレスを感じやすい方ほど苦しむことになるでしょう。
ペット問題が起こりやすくなる
他にも、ペットを飼っている場合に、音の問題や、匂いの問題でトラブルになることや、元々ペット禁止の物件にも関わらず、内緒で飼う方がいてトラブルになるということもあります。
建物によっては住民の質が悪い事がある
マンションの住人に問題行動のある方がいて、警察沙汰が何度も起こるといったケースがあります。
迷惑行為を行う人が住人の中にいないかどうかを予め知ることはなかなか難しいですし、将来的にそうした方が入居されるということもあるので、不特定多数の人が出入りすることになるマンションの住環境を完全に予測するのは難しいことを知っておきましょう。
中古マンションなどを購入する際には、特に気を付けたいのが、現在の空室率です。
既に空室が多いマンションにこれから人が増えることは考えにくく、後に高額な修繕費がかかってしまったり、修繕されないマンションに住み続けなければならなくなる可能性があるからです。
修繕トラブルが起こる可能性がある
共用部分を持つマンションでは、管理組合で決議を取って修繕を行うことが当然の流れですが、決議も取らずに独断で工事を強行したというケースもあるので、管理組合にまかせておけば安心、とはいえない場合もあります。
安かった管理費が、ローンを払い終わる頃に上がることも考えられますし、大規模な修繕の際には別途費用を求められることもあります。
住民の一致が見られずにリフォームされない場合には、お金のある人は家を売って新たなマンションに移ってしまうこともあり、マンションの場所や大きさ、種類によっては資産価値が落ちて行くばかりということもあります。
選び方には戸建て以上に気を遣わなくてはならないのが、マンションです。
民泊問題も増えてきている
最近では、勝手に民泊を行ってトラブルに発展するケースもあります。毎週のように外国人がやってきて、マンションの前でスーツケースを片手にたむろしているといったこともあります。
このような場合には早々に管理組合に訴え、許可の無い民泊を禁止するという措置を取る場合もあるようです。
エレベーター問題には気を付ける必要がある
複数の世帯の方が共同で生活している為、エレベーターなどで他人と行き合うことがありますが、そこで挨拶をするかどうかも問題となっています。
子供がいる家の場合には、子供の安全のために挨拶をしないよう教育している場合もあり、挨拶をするのが正しいのか、しないのが正しいのか、今の時代には正解がありません。しかし、挨拶をする習慣や、助け合いをする習慣がない場合には、震災などの有事の際に困るということもあります。
また、高層マンションなどではエレベーター待ちの列で、朝のラッシュ時や夕方の混む時間帯にはなかなか部屋にまでたどり着けずに毎日イライラするといった声もあります。
他にも、高層マンションならではのケースが、エレベーターで相手が高層階に住んでいるか、低層階に住んでいるかを確認し、値踏みする人がいるといった心理的にストレスを感じるトラブルがあります。
管理会社に自治を完全に依頼することはできない
マンションの場合は、巨大な一つの建物を、中で暮らす大勢の人々が協力して質の良い状態に保たなくてはならないため、大勢の方の意見を上手にまとめる必要が出て来ます。
その為、管理会社の質が高いかどうかで、マンションでの生活は大きく左右されることになります。
トラブルが発生した場合にも、管理会社の対応次第で結果が違ってきます。
ただし、管理会社はあくまで掃除やゴミ出しの代行をするだけです。修繕や自治体としての管理は住人の代表が集まって行うために、マンションにも自治会はあります。
余程富裕層のマンションでない限り、戸建住宅と同じ様に共同体としての付き合いがあることに注意が必要です。人付き合いを好まない人の場合には、無理して戸建住宅やマンションを選ぶ必要はなく、賃貸のまま住み替えていくという方法もあります。
マンション購入の際には、管理会社の評判についてよく調べてから行うようにしましょう。
戸建住宅で起こる可能性のあるトラブルを知ろう
地域の管理と住民トラブル
自治会問題はどこでも付いて回る
一軒家の場合、通常自治会に加入することになります。戸建ての場合、自治会に入ることで物件とその敷地だけではなく、地域全体の管理を共同して行うことになります。
自治会の加入は強制ではないため、今では自治体を脱退する方や、はじめから自治会に入らない方もいます。
自治会に入らない場合、どんなデメリットがあるでしょうか。
主に、ゴミの処理の問題と、地域の景観・設備の保護ができなくなるという点が上げられます。
ゴミ出しは、自治会に加入しなければできないというものではありません。
裁判にまで発展したケースもありますが、判例に従えば、自治会に加入していなくとも、ゴミの集積場は利用することはできます。
その場合、自分で場所を指定し、自治会に入らない人同士などでまとめて何件か分のゴミ出しをすると市に申請を通す必要があります。
ただ、自治会が消滅してしまうことになると、ゴミ捨て場の清掃は誰が行うのかといった問題や、共有の土地や設備で、草取りやゴミ拾いの習慣があった場合、それらを誰が行うのかといった問題が出てきます。
自治会には、不必要な集会や世代によっては受け入れられない文化があることもあり、求められる自治会としての機能とは異なる形で運営されているケースもありますが、自治会が市の窓口となり、地域全体の害虫駆除や設備の修繕に対応している事もあるので、一概に自治会が悪いと切り捨てることはできません。
理想論としては、市などの自治体に全ての機能を求めることになりますが、現実的にそれは難しいため、一戸建てで生活をする場合には、自治会、または地域の人々と何らかの関わりを持つことは避けられないと考える必要があるでしょう。
騒音やタバコ問題と隣との境界線
タバコや騒音についてのトラブルは、一戸建てでも隣との境界線が近い場合には起こり得ます。
また、隣との境界線を巡り、裁判になるケースもあります。
これは、分譲住宅などの場合には起こりにくいのですが、土地を購入する際に境界線があいまいな土地を購入してしまうことで起こるトラブルです。土地の境界線に問題はないか、あらかじめ確かめるようにしましょう。
子供をめぐる住民トラブル
分譲住宅地で暮らすようになった場合に、子供の成長とともに友人との間に亀裂が入り、成績や習慣をめぐるトラブルが出て来ることがあります。
小さな子供がいる家と、受験生の子供がいる家で騒音に関するトラブルが発生したりと、近所が居心地の悪い場所になってしまうこともあります。
戸建住宅もマンションも面倒なことは必ずある
戸建てでも、マンションでも、人に恵まれなかった場合には嫌がらせを受けてしまうといったトラブルは起きてしまいますし、大金で購入し、ローンも抱えている家を、トラブルに巻き込まれた結果手放すことになる場合もあります。
家を買うということは、帰る家があるという安心の反面、身動きが取れなくなるという窮屈さを感じる人もいますし、決められた金額を払いきらなければならないというプレッシャーを背負うことでもあります。
心理的な負荷がかかるものでもあるので、人によっては家を購入すること自体が向いていない場合もあります。
自分自身の性格や金銭的な余裕、将来の見通しを考えてから家の購入は考えましょう。