友達とは何かと悩んだら相手との利害関係から答えを探す
仕事の付き合いはお金などの利害関係が存在しなければ成立しない関係
世の中に、全くの利害関係のない人間関係は存在しません。良い気分になるといった心理的なメリットを含め、金銭的なメリットなど、何らかのメリットを求めて人は、人と付き合います。
ただ、その利害が、金銭で計れるものであるか、気持ちの問題であるかによって、利害の感じ方は違ってきます。
最も分かりやすいお金で計れる人間関係とは、仕事上や義務でしか付き合いたくないと思う相手です。普段なら絶対に付き合いたくない相手や、気が合わない相手でも、お金が発生する仕事上での人間関係においては上手く付き合おうと人は考えます。それは、そこに金銭というメリットが存在するからです。
明らかに対等ではない人間関係を何の見返りも求めずに受け入れると、奴隷のような主従関係となってしまいます。仕事での様々な立ち位置を受け入れ、状況に応じて上下関係を良しとして生活できるのは、あくまでそこに金銭が介在しているからなのです。
つまり、お金で繋がる関係は、お金が存在する限りは表面上うまくいっているように誰もが見せようとする関係ですが、最も人間関係としては感情面での結びつきが弱い関係です。
これは、学校や部活、PTAといった組織でも同じ事が成り立ちます。ここでは、金銭的なメリットはありませんが、人間関係が良好でない場合に起こるデメリットを考え、人々は上手く立ち回ろうとします。
いじめや仲間外れ、学級崩壊などはこうした場で起こり得る悪い例ですが、こうした悪い環境が個人に対して起こすデメリットは、授業を落ち着いて受けられないことによる学力の低下や、情緒不安定といった心的被害などです。
トラブルや悪い環境は、将来に向かってお金を稼ぐ力を低下させる、トラウマを残して幸せに生きる力を失わせるといった将来的な問題を抱えることにもなるため、できれば避けたいものです。だからこそ、できる限り円滑に事を運びたいと人は思います。
将来への健康やお金の不安から、仕事関係や義務的に対応が必要な場所では気を遣って生きているという人も多いでしょう。誰もが互いを良く理解できる友人であれば起こらないような、余計な気ばかり使う関係にはストレスを感じることもあるはずです。
こうした心理的に疲れる場から離れて、多くの見返り求めずにいられる関係が、友人との関係です。
友達かどうかは見返りを求めない度合いで計れる
友人関係には、趣味の仲間といった好きな物を共有する仲間や、趣味は違っていても、古くからの記憶の共有で繋がる幼馴染みや学生時代からの友人など、様々な友情があります。
こうした友人関係には、共通点として「多くは見返りを求めない」ことがあります。共通する何かを共有し、楽しむことが友人関係にとって大切なことで、友人に何かを求める場合には、相手もまた、自分に何かを求める権利があるという、対等な関係にあることが友情を長続きさせる大事な要素です。
仕事では、金銭を介して人間関係を成立させますが、友情では、趣味や記憶の共有という共通する事柄を、楽しい・嬉しいといった心理的なメリットを通じて成立させていきます。
友情は、相手や自分が必要以上に何かを求めるようになれば、いつしかどちらかが関係に負担を感じるようになり、簡単に終わってしまうものでもあります。関係性が、面倒な気を遣うやっかいな知人関係に転じれば、そのうち付き合いも無くなっていくでしょう。
友人同士の間で、多少の見返りを求める、何かをお願いする場面は当然あるでしょう。「これをやっておいて」「ついでに〇〇してきてくれる?」といったお願いも、ある程度まではむしろ嬉しいものであるのが友人関係です。頼ってもらえているという嬉しさを感じられる限りは、互いの友情において見返りが良い効果をもたらしていることになります。
ただし、金銭的な要求や、労働力を含む要求を一方的にされる状況が続けば、これは友情ではなく主従関係になってしまうため、「多くは見返りを求めない」状態ではなく、一方的に見返りを要求するバランスを欠いた関係となります。
人は、バランスが悪い関係性に大きくストレスを感じます。
「私たち、友達だよね」と、友達という言葉を盾にして、何かをお願いするような人は、友達ではなく人間関係を自分優位に悪用する人でしかありません。
これは友情なのか、この関係は友達なのかと思ったら、その時点で友人関係は破綻している可能性が高く、相手との関係にバランスを欠いていると感じている可能性があります。ただ、友人関係の場合、環境が変われば終わることも良くあるように、悪い関係も永遠に続くことはほとんどありません。
ある特定の人との関係だけ負担を感じる場合には、無理に関係を続けることなく、解消することを考えましょう。友人関係ではなく、良い知人関係に変えるという方法もあります。時間や記憶を共有して楽しむ関係性ではなく、お互いに、金銭的なメリットがある時や、その他の利害関係の一致がある時にだけ協力する間柄になるのです。
知人関係であっても、時には協力し合える状態にあることがメリットとなることがあります。友情が終わると、人間関係も終わりのように感じることもあると思いますが、災害といった大きなトラブルを前にした場合、隣人同士や知人という間柄だからこそ協力できる場合もあるため、可能な限り、人間関係の濃さを薄めることはあっても、断ち切らないようにすることも大切です。
相手にとっても、自分にとっても都合の良い人間関係を築かないよう気を付ける必要はありますが、友人だけが人間関係の全てではなく、知人という間柄にもメリットがあることを知っておくと、友達と呼べないことに後ろめたさを感じる必要が無くなるでしょう。
知人関係ですらいたくないと思う相手は、存在自体に心的なデメリットを感じる相手です。そうした場合は、極力関係する場を持たないようにしましょう。
親友とは全く見返りを求めずにいられる相手のこと
親友は、特別な人間関係の状態を表します。
相手に何かをしてあげることに対して喜びを感じられ、相手から何かをしてもらうことをほとんど求めない状態にある場合、これは親友としての関係と言えます。
仕事、知人、友人関係については、お互いが知人だ、友人だと思っていることで成立するものではありません。
一定の判断基準はありますが、基本的には自分が友人と思えば、友人です。
相手の気持ちは変わるものであり、一定ではないものです。そのため、相手が自分を知人と思っているけれど、自分は友人と思っていたという事は良くある事です。
本音を聞いたとしても、相手の本心は滅多に分からないものです。だからこそ、相手が自分をどう思っているかにこだわらず、自分は相手を友人と思う、自分は相手を知人と思うという判断で生きる方が楽に生きられるでしょう。
ただ、親友かどうかとなると、互いにそうであると認識している場合がほとんどです。親友は、相手の痛みを同じ様に痛いと感じ、分け合うことができる、自分と繋がった存在です。
だからこそ、困っていればすぐに手を差し伸べたくなり、助けたくなる存在で、できることであれば何でもしてあげようと思う相手です。もちろん、互いに親友と認識している場合、相手に過度に負担になることは、自分に過度に負担をかけるのと同じ事だと感じて、相手の親切を自分がストップすることもあるはずです。
このように、親友とは、互いに助け合いながら、どちらかに頼り過ぎることなく、一緒にいる時間が多くても少なくても、常に相手の存在を意識できる存在なのです。
相手を試すような行動をする場合は友人とも親友とも言えない
特に若いうちには、親友と友人の関係が良く理解できなかったり、友人に嫉妬してしまうような感情に頭を抱えることもあるでしょう。
誰かと比べること、比較をすることで人は成長していきます。その上では、友人や知人といった身近な人と比較することは、自然なことです。
次第に、比較をすることの無意味さに気付き始めますが、比較をしてしまう段階では、友達を羨ましく感じたり、親友と思っていた人に彼氏・彼女ができて一緒の時間が取れないことを嫌だと感じることもあります。
自分に夢中になれることできるまで、自分がどんな人間かを分かるようになるまでは、人間関係の中に自分にない物を持つ人への嫉みや、自分を優先しないことへの不満が付きまとうものです。
けれど、誰もが自分を優先している世界では、自分を優先してくれる他人など存在しないのは当然です。自分自身が真に他人を優先できるようになった時、自分より自分を大切に想ってくれる存在と出会えることができるでしょう。
自分を好きかどうか不安になり、つい無理難題を押しつけてみたり、相手を試すような行動をしてしまう人は、友情を壊してしまう行動をしていることに気付きましょう。見返りを求める度合いが高くなれば、友情は存在しなくなってしまいます。
見返りを求められている、求めている関係は、結果的には求めるものが手に入らないことへの不満から関係が壊れていきます。これは、恋愛においても同じですが、友人関係や親友の関係では、恋愛とは違いって外部的な原因(親との関係や浮気など)によって壊れる要素は少なく、一生を通じて良い関係でいられる場合も多くあります。
この人の事が好きだな、友人として長く関わりたいなと感じたら、見返りは求めず、自分が相手を大切だからこそ相手を大事にしようとすれば、自然と良い関係を築けるようになるでしょう。ただ、相手を大事にすることは、自分が良いと思うことを押しつけることとは違い、相手にとってメリットになることで、相手が必要としていることをしてあげることなので、自分の思い込みで突っ走らないように注意しましょう。
インターネットを通じて簡単に繋がれる時代だからこそ、仕事や友人関係に悩むと、すぐに解決できる方法を求めてしまう傾向があります。ただ、通常の人間関係の距離は、縮めたり、遠ざけたりすることができるものです。迷った時には少し距離を置くなどして、冷静に考える時間を作ることで、長く良い関係が築ける場合もあります。
知人か、友人か、親友か、迷った時には距離を置いて、自分が導き出す答えとゆっくり向き合ってみるのも良いでしょう。