泣いて感情に訴えてくる人には正論は効かない
涙を武器にする人
何かというと、泣いて逃げ出す人がいます。
こうした人は、とにかく感情に訴えることに慣れています。
会社では、すぐに仕事を投げ出し、仲の良い人を見つけてはたらたらと長電話をしたり、その辺でお喋りばかりしていたり。仕事を学ぶ姿勢がないので、効率も全く上がらない。
感情に訴える人は、叱られて当たり前のミスをしたにも関わらず、自分の間違いを認めずに、上司をパワハラ呼ばわりします。
普段から、怠けたり、手を抜いたりが目立つせいで評価が低いと、「正当な評価をされていない」と怒り出して、泣き出します。
いつも自分がかわいくて、常に自分視点にあるこんな人には、「仕方がないでしょ、真面目に仕事をしないんだから」と諭したところで、「〇〇さんが、あたしの悪口言いました!」と今度はあなたを悪者扱いし始めるでしょう。
自分を守ってくれそうな人を見つけては、すぐに泣きついて、でも、いつも頼りにしている人に裏では陰口ばかり言っていたりする。
こんな人が身近にいると、とても疲れてしまいます。
終いには、代わりに仕事をしたり、失敗の尻ぬぐいをしたりして、その上、目の前でわんわん泣かれたりしたら、こちらの方がまいってしまうこともあるでしょう。
何かというと感情的になって泣き出す人には、客観的な視点などありません。なので、真っ正面からぶつかっても、あなたの声など微塵も届いていないでしょう。
すぐに涙を流す人は心のコントロールができない人
小学校、中学校、そしてその先、と、大勢の人に囲まれて生活するうちに、ほとんどの人が理不尽な出来事の経験します。
自分の思うようには物事は進まず、考えていた以上に大変な出来事にぶつかり、コミュニケーションの失敗により友達と上手くいかなくなる。
ほとんどの人は、こうした上手くいかない経験を通して心をコントロールし、悔しくても、悲しくても、辛くても、全てを口には出さず、顔には出さず、場を円滑に進めることを覚えていきます。
人は、このようにして譲り合うことを覚え、効率良く物事を進める術を学んで行くのですが、感情に訴える人というのは、こうした心のコントロールによる自我の抑制ができない人たちです。
思ったことはすぐに口から出て、気に入らなければ文句を言い、それでも上手く行かなければ、職場であろうと泣き出します。
大人になる過程で、心のコントロールができるようになるには、自分という人間をつくり上げる過程で、「他人の意見を聞く」「他人の行いから良いもの、悪い物を選別する」という、他者視点を持つことができなくてはいけません。
失敗する度に、「どうして失敗したのだろう」と考え、他の人を見て学んだり、理不尽な出来事に対しては「なぜこんなことになったのだろう」と、客観的な回答を求めるのが、他者視点に立てる人々の行いです。
しかし、涙で訴えることに慣れてしまう人は、「自分は特別なのだ」という考えを根底に持っています。
彼女たちにとっては、自分が一番。自分がかわいい。自分が全てなのです。
彼女たちは、持ち物やステータスを他人と比べることはあっても、他者視点で物事を見るという習慣はありません。
自分がこれほどまでに嫌な思いをして、泣くほど辛い思いをしているのだから、周りの人は助けてくれるはず。いや、助けてくれなくちゃおかしい。
それが、彼女たちの思考回路なので、真っ当な意見など入る隙もありません。
泣いて感情に訴える人への対処法
客観的な視点は、辛いこと、苦しいことを経験し、それを乗り越えなければ身につきません。
自分が一番で自分がかわいい人が、こうした苦しみや悲しみ、辛さを乗り越えようという発想はなかなか生まれてきませんので、周りが慰めてくれるのをいつまでも、いつまでも待ち続け、そうでなければ世の中がおかしいと怒り出すでしょう。
つまり、彼女たちの涙を治めるには、彼女の痛みや苦しみを優しく包んで受け止めて、嫌がる事の全てをこちらが肩代わりしてやってあげ、どんどんエスカレートしていく彼女の我がままに付き合い・・・・・・

そんなことできるわけあるか!
と、なりますよね。
ですので、やはり、はっきりと拒絶を示さなければなりません。
仕事上での関係であれば、やるべきことを伝え、冷静に対処するに留め、感情的になることがあまりに多ければ、心療内科にかかるようにすすめるなどして、自分自身が相手の感情に巻き込まれないように注意して下さい。
医療の専門家でない人が、あまりに相手の感情に振り回されてしまうと、次第に自分を見失い、自分自身が苦しむことにもなりかねません。
どうして涙に訴える人が生まれるのか
感情で訴える人の多くは、「かわいい人」であることが多いはずです。
それは、見た目だけとは限りませんが、「かわいい」「守ってあげよう」と思わせる要素がなければ、これまで、泣けば誰かが助けてくれるという経験を繰り返すことはできません。
しかし、「かわいい」で通じるのには限界があります。こうした人々も、年を取り、年相応の対応を求められるようになるからです。
そうなると、こうした「かわいい」で通してきた人々はどうなるのでしょうか?
「厚かましい人」や、「勘違いしている人」に変化します。
周りから疎まれるようになり、「嫌な人」と陰口をたたかれるようになるかも知れませんが、しかし、彼女たちは自分が悪いということにはなかなか気付けないのです。
こうした、感情に訴える人の中には、とことんずうずうしくなり、周りに迷惑をかけ続ける人もいれば、周りと上手くいかないことに気付いて、心を病んでしまう人もいます。
彼女たちの側に立つと、それなりに違う苦しみが見えてくることもあります。ですが、先述のように、専門家でない人が、こうした感情に訴える人を助けようとするのは危険な事です。
ですので、無理に諭したり、話を聞いてあげたり、相手の要望に応えようとしてはいけません。
本人に自分のしていることに気付いてもらうのが一番ですが、そうするには、こちら側が、彼女以上に大げさに、感情でぶつかってみる必要があるのかも知れません。
鏡のように、相手の反応を同じように返す事で、ようやく自分の本当の姿に気付く、ということもあるかも知れませんが、周囲に誤解をまねく危険な行為でもあるので、ほどほどに取り入れるようにして下さい。
はかりさん! 第六話