エネルギーのほとんどは化石燃料
原発依存度は低くても、原発を再稼働する理由
原発が人体や自然に及ぼす影響が大きいということは、今も原発により地元へ帰れない人々がいることを思えば明らかなことです。
しかし、脱原発が進むかと思われた日本で、一度全て停止したはずの原発が再び稼働しています。
自然を利用したクリーンエネルギーの開発が進んでも、まだ全国の電力需要を満たしていないのは、どうしてなのでしょうか。
今後、クリーンエネルギー(再生可能エネルギー)だけで生きて行く社会は作れるのでしょうか。
こうした疑問に答えるためには、それぞれの発電方法のメリットとデメリットを知り、大規模発電ではなく家庭で発電ができる仕組みについて学ぶ必要があります。
2016年時点における日本の電源構成比において、再生エネルギーはわずかに15%でした。この中には、水力発電、太陽光発電、風力発電、バイオマス発電と地熱発電が含まれています。
これには、国の事業として大規模に発電する場合、太陽光発電と風力発電はコストが高く、水力発電にはこれ以上の発電場所の確保が難しいという事情があります。
バイオマス発電については、発電中に火力を使用しますが、元々植物が大気から吸収した分を戻しているだけなので再生可能エネルギーに分類されています。
ただ、バイオマス発電についても、コストが高いことと、原料を集めるのに限界があること、発電効率が低いことから、これだけで発電をまかなうことは難しいのです。
地熱発電については、開発コストが高く、発電量が小さいために開発には限界がありますが、しかし、最近では温泉などを利用した小規模な、地域密着型の開発に注目が集まっている発電方法でもあります。
化石燃料への依存が問題
2016年時点での電源構成を見て見ると、全体の80%以上が地球温暖化と環境破壊が懸念される火力、LNG、石油、石炭に依存しています。
二酸化炭素の排出量については、温暖化が懸念されるようになり、パリ協定に基づき規制されるようになりました。日本でも、排出量の規制目標が掲げられ、税金をかけることで排出量の抑制を促しましたが、停止した原発が再稼働したのも、こうした化石燃料への依存からの脱却が目的です。
つまり、国主導、企業主導での大規模な発電では、結局のところ化石燃料への依存か、原子力を利用するかに向かってしまうことが分かります。
クリーンエネルギーを本気で実現したいと考えるならば、家族単位や、地域単位での発電の仕組みが必要になるのです。
電気の大前提を知って電力開発の方法を探る
前提として知っておくべきこと
電気は発電した場所から離れるほどに量が減る
発電した電気は、そのまま全ての量がケーブルを通って運ばれるわけではありません。放っておけば放電してしまいますし、ケーブル内の抵抗により、使われる場所まで届く間に量が減ってしまいます。届けたい先が遠ければ遠いほど、それだけ多くの電気を流さなければならないということです。
電気はケーブルを通って移動しなくてはならない
どこかで電気が足りないという時、余っている電気を届けたくても、ケーブルがない、足りないという場合にはその電気を届けることができません。そうすると、発電している施設では、なるべく多めに電気を作っておこうという発想になります。すると、電気を作るために、原発や化石燃料が多く使われることになります。
西と東では周波数が違う(50ヘルツと60ヘルツの問題)
変電用のシステムを導入する際に、購入した先が違ったという理由で、西と東の周波数が違います。そうすると、西で電力供給が過剰気味で、東で不足しているという場合でも、周波数を変更してからでないと電気を送ることができません。そのため、周波数を変更するための設備、周波数変換所が十分になければ、西と東で電力を分け合うことができないのです。
蓄電池から取り出せる電気の量は減る+蓄電池は高い
太陽光発電が活発化し、各家庭の屋根や畑にソーラーパネルが設置されるようになっても、太陽光発電だけで暮らしているという家がとても少ない理由には、太陽光発電が太陽に依存しているために安定的ではないということと、蓄電池が十分に流通していないこと、蓄電池の機能の限界があります。
電力会社による固定買取制度があったために、太陽光発電が広まったものの、もうすぐ固定買取制度も終わってしまいます。ですので、安く手に入り、発電した電気を溜めておくことのできる蓄電池への需要がこれから高まることが予想されます。
蓄電池の機能向上と普及こそが、クリーンなエネルギーで電気をまかなうためにできる確実な事といえます。ですが、古くなった蓄電池が放置されるなどして、土壌汚染が広がっては大変ですから、流通した蓄電池の回収システムの構築も同時に必要となります。
上記の問題点を考えると、小さな地域内で発電と消費が完結するシステムが最もクリーンエネルギーを実現させ、かつ、電力を無駄にしない方法であることが分かります。
家庭や地域で発電することができる再生可能エネルギー
太陽光発電
メリット
デメリット
電気の変換効率は約20%(入力したエネルギーに対する電気の発生量)
風力発電
メリット
デメリット
地熱発電
メリット
デメリット
マイクロ水力発電
メリット
デメリット
クリーンエネルギーで生活する社会を実現するには
それぞれの発電方法にメリットとデメリットがありますが、地域の特性を生かした発電方法を選べば、クリーンエネルギーを使用する社会への実現が近づきます。
各家庭や地域の発電と、事業の発電を分けることができれば、災害が発生した時にも、電気がなくて困るケースが減りますし、クリーンなエネルギーの割合を高くすることができるということです。
大規模事業でなければできないこともありますが、小規模に、家庭や地域でしかできないこともあるのです。
クリーンエネルギー社会を実現したいのであれば、各家庭と地域で発電できるようにするのがベストです。防災の点からも、蓄電の難しさと送電での電気の損失などを考えても、小さなコミュニティで発電し、消費することが一番効率良く、環境を汚さない方法です。
国が、地域や家庭の再生エネルギー導入への支援を強化すれば、導入は進んでいくでしょう。今後は、そうした支援により、地域に合った再生エネルギーの活用が始まることが期待されます。